米連邦捜査局(FBI)は31日、サイバー攻撃の危険性を理由に北京冬季五輪に出場する米代表選手らに、個人の携帯電話を持参しないよう呼びかけた。
FBIは通知で「具体的な脅威は把握していない」としながらも「すべての選手は携帯電話を自宅に保管し、臨時の携帯電話を使うよう求める」と強調。「デジタル環境に十分注意して行動することが重要だ」と警鐘を鳴らした。
また、中共ウイルス(新型コロナ)の検査やワクチン接種状況を調べるアプリの利用により「個人情報の流出に加え、追跡ツールやマルウェア(悪意あるソフト)をインストールされる恐れがある」と警告した。北京五輪ではすべての選手に対し、健康管理アプリ「MY2022」のインストールが義務付けられている。
2018年の平昌冬季五輪では、ロシアのサイバー攻撃により開会式の最中に公式サイトがダウンするなどの問題が発生。FBIは個人情報を収集する悪意あるモバイルアプリなどの利用により攻撃が可能になったと指摘した。
昨年の東京五輪で通信サービスを提供したNTTによると、同五輪でのサイバー攻撃は4億5000万件以上に上った。対策の結果、大会運営への影響はなかったものの、そのほとんどがマルウェアや電子メールのなりすましなどによるものだったという。
米国オリンピック・パラリンピック委員会も「全てのテキストやメールが監視または侵害を受ける恐れがある」と述べ、米代表選手らに使い捨ての携帯を使用するよう勧告。オランダ、英国、カナダ、スイス、スウェーデンも同様の理由で選手とスタッフに未使用のデバイスを一時的に提供する予定だ。
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