中国インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の創業者兼最高経営責任者(CEO)の馬化騰(ポニー・マー)氏は近年、自身の慈善基金を通じて複数の米大学に寄付していた。米メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」が6日報じた。
報道によると、馬氏は2017年以降、米マサチューセッツ工科大学(MIT)やプリンストン大学に1000万ドル(約11億5000万円)以上寄付している。同氏は、中国に設置されている、自身が顧問を務める米大学の教育機関のためにロビー活動を行っているという。
米教育省のデータベースには寄付情報が掲載されている。いっぽう、MIT大学もプリンストン大学も、馬氏との関係などについて情報開示していない。
馬氏は自身が顧問を務める北京の「イェール北京センター」と「コーネル北京センター」にも寄付している。同氏の慈善基金は詳細の開示を拒否した。
中国からの巨額な寄付は、学術の自由への侵害や、米国家安全保障上への懸念を引き起こした。
米国では、外国からの寄付もしくは契約金額が25万ドルを上回る場合、教育省への報告が義務付けられている。
イェール大、コーネル大、ハーバード大など名門校への調査は、昨年から始まった。
イェール大とコーネル大は、ファーウェイやZTE(中興通訊)など、中国政府と密接な関係のある企業から寄付を受けたかどうかについて情報開示を求められている。
米政府の委託で独立した立場から調査を行う「AIに関する国家安全保障委員会」(NSCAI)は、中国政府が「千人計画」による人材招致、浸透、技術移転、投資などを通じて、外国のAI技術を獲得するための計画を推進していると警告した。
NSCAIは昨年3月、議会に提出する報告書の中で、AIなどの重要技術が中国軍に窃取されないよう、米大学が対策を強化すべきと提言していた。
中国は「2030年にはAIで世界をリードする」と宣言している。テンセントは中国の「AI国家チーム」のメンバーである。
テンセント傘下のSNSアプリ「微信(ウィーチャット)」のユーザーを監視している。
米国防総省は昨年11月に発表した報告書の中で、中国政府がテンセントなど中国ハイテク大手の技術を、軍の近代化の推進などに利用しようとしていると指摘した。
(翻訳編集・李凌)
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