中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議は22日、オンライン形式で開催された。中国の習近平国家主席は会議で、双方の関係の「格上げ」を宣言し、同地域を重視する姿勢を見せた。いっぽう、フィリピンのドゥテルテ大統領は会議で、今月中旬に南シナ海で中国海警船が同国の補給船に放水したことに触れ、「最近の事態を嫌悪している」と不信感をあらわにした。
中国とASEANが1991年に対話を開始し、首脳会議は30周年を記念するために開かれた。中国はこれまで主に首相が会議に出席していたが、今回は習近平主席が異例の参加で会議を主催した。アジア関与を強める欧米が念頭にあるものとみられる。
習近平氏は演説冒頭で、中国とASEANの関係を従来の「戦略的パートナーシップ」から「包括的戦略パートナーシップ」に格上げすると宣言した。
ASEAN諸国の首脳に対して「共に地域の末永い平和を守ろう」と呼びかけ、「中国は決して覇権を追求したり、自国の規模を利用して小国をいじめたりしない」と述べた。
習氏は南シナ海問題を巡り、紛争防止に向けた行動規範(COC)の成文化交渉を加速するよう呼びかけた。
だが、こうした発言とは裏腹に、南シナ海で中国は攻撃的な行動をとり続けている。
16日、中国の海警船3隻が、フィリピンが実行支配する南沙諸島のアユンギン礁に向かう比補給船2隻に向け放水した。ドゥテルテ大統領は会議で「最近の事態を嫌悪し、その他の事案にも深刻な懸念を持っている」と中国に抗議した。
大統領は、2016年の国連海洋法条約(UNCLOS)に基づく国際司法判断に言及し、「法的手段」が唯一の解決方法だと主張した。オランダのハーグに設置された南シナ海仲裁裁判所は同年7月、南シナ海における中国当局の権利主張を否定した。
米国務省報道官は19日、中国側の行動を「危険で、挑発的で、不合理だ」とし、フィリピン船への武力攻撃は「米比の相互防衛義務を発動させる可能性がある」と警告した。
(翻訳編集・張哲)
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