インド太平洋諸国の軍事指導者等が団結して防衛外交と協力体制を深化

2021/09/03
更新: 2021/09/03

安保懸念が高まりつつあるインド太平洋地域の課題対策に関する協力体制を推進することを目的する第23回年次インド・アジア太平洋諸国参謀総長等会議(CHOD)がハワイで開かれた。同地域の同盟・提携国19ヵ国の上級軍事指導者等がハワイに集合した。主催組織の米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の司令官を務めるジョン・C・アキリーノ(John C. Aquilino)大将が進行役を務めた。

2日間にわたる今回の会議の主題は「平和と安保の維持を目指す提携ネットワークの強化」であった。

米インド太平洋軍のニュースリリースによると、アキリーノ大将は、「インド太平洋地域に位置する諸国は、繁栄、安保、法治に基づく国際秩序の維持について基本的な関心事項を共有している」とし、「こうした偏見のない対話や交流は、すべての国が平等に意見を提示できる環境と秩序を構築するという同盟・提携諸国の共通の価値観と信念から生まれたものである」と述べている。

米インド太平洋軍の説明では、同会議は包括的な安保と優れた統治の促進を目指す同志諸国の上級軍事指導者等の討論の場として機能している。

パプアニューギニア国防軍の司令官を務めるギルバート・トロポ(Gilbert Toropo)少将は、「軍事提携諸国は太平洋島嶼国のためにこうした機会を促進してきた」と説明している。

オーストラリア国防軍司令官のアンガス・キャンベル(Angus Campbell)大将が米インド太平洋軍に説明したところでは、同地域は第二次世界大戦以来「最も重要な戦略的再編」に直面しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより状況が複雑化している。

キャンベル大将は、「こうした環境により、インド太平洋地域の軍事指導者等がこれまで以上に一丸となって防衛外交、協力、能力開発体制を深化することの重要性が高まっている」とし、「当地域が直面している課題はどの国よりも大きい。

協力を図らなければ、回復力ある主権独立国家の集合体としての安全かつ包括的で豊かなインド太平洋地域を構築するという共通の未来像を実現することはできない」と述べている。

それぞれの会議では透明性と法治の推進、人権と基本的自由の保護、国際安保における女性の役割、および自由で開かれたインド太平洋を目指す協力機構の役割に焦点が当てられた。

カナダの国防参謀総長代行を務めるウェイン・エア(Wayne Eyre)大将は米インド太平洋軍に対して、「インド太平洋地域で定期的に活動しているカナダ軍にとって参謀総長等会議は志を同じくする諸国との関係強化を図る重要な機会となる」と話している。

会議を挟んだ数週間の間に多くの会議参加国の軍隊が多国間演習に参加したことは、インド太平洋全域を繋ぐ強力な提携力が確立されていることを示す明らかな証となる。

たとえば、米国とタイが8月上旬に仮想演習と実地訓練を交えてタイ全域で実施した第40回目の「コブラ・ゴールド(Cobra Gold)」合同演習では日本、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国を含む参加7ヵ国が立会として参加した諸国と協力を図りながら軍事訓練と人道支援・災害救援(HADR)活動に取り組んだ。

また、8月中旬にオーストラリア、カナダ、米国など21ヵ国が参加した第20回「年次東南アジア協力訓練(SEACAT)」には、海洋安保課題における協力体制の推進を目的として、実施訓練と海上演習を含めて10日間の日程で実施された。

エア大将は、「地域の同盟・提携諸国との協力体制を通じて、法治に基づく国際秩序と自由で開かれたインド太平洋地域の維持・推進および地域の複雑な安保課題への対応を図るためには、諸国の取り組みの整合性を整えることが重要となる」と述べている。 

(Indo-Pacific Defence Forum)