米、中国ファンドのマグナチップ買収案を棚上げ 「安保上のリスク」で

2021/09/01
更新: 2021/09/01

米財務省は8月31日、中国系投資ファンドのワイズロードキャピタル(WiseRoadCapital)が計画している米上場の韓国半導体メーカー「マグナチップ・セミコンダクター(Magnachip Semiconductor、以下はマグナチップ)」の買収について、国家安全保障上の懸念を理由に、対米外国投資委員会(CFIUS)が批准手続きを棚上げすると発表した。

ワイズロードキャピタルは3月、マグナチップ社を14億ドル(約1500億円)で買収することに同意した。これ以降、米韓などの規制当局が買収審査を進めている。

マグナチップ社は、OLED(有機発光ダイオード)ディスプレードライバー駆動チップ(DDIチップ)生産と、電力ソリューション事業などを展開する半導体メーカーで、韓国に生産・研究開発拠点を持つ。

ロイター通信や米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米財務省は8月下旬にマグナチップ社宛の書簡の中で、この買収計画について「米国の国家安全保障上のリスク」があると示した。また、書簡は、CFIUSが調査期間中に現在の評価を変える可能性のある新情報を得られない場合、この買収案についてバイデン大統領に直に決断を求めるとした。

財務省下部機関であるCFIUSは6月、同買収計画を保留する暫定命令を出した。

マグナチップ社は今後の対応を検討しているとした。

パンデミックの影響で世界的な半導体不足が続き、自動車やテクノロジー産業の生産は減少している。米国内では、サプライチェーンの中国依存から脱却するよう求める声が高まっている。

米上院が今年6月に可決した「米国イノベーション・競争法」は、米国内の半導体製造に520億ドル(約5兆7000億円)規模の資金を投じるなどを定める。

(翻訳編集・李凌)