オーストラリアのマリズ・ペイン外相は5日の声明で、同国政府は今年末までに自主制裁法(the Autonomous Sanctions Act 2011)を改正すると発表した。これは、豪議会委員会が昨年末に提出した人権侵害者に科す豪州版マグニツキー法の成立を求める報告書に応じた同政府の取り組みだという。
外相の声明によると、豪政府は、国際的に懸念される重大な犯罪行為の加害者に対して、標的を絞った金融制裁や渡航禁止を可能にするために、現行の自主制裁法を改革する。
声明は、この改革では豪州の現行の国別制裁措置の枠組みを拡大し、大量破壊兵器の拡散、深刻な人権侵害、悪意のあるサイバー活動、深刻な汚職行為など、制裁が適用される行為を明確にすることにあるとした。これによって、豪政府は、制裁対象となる個人や団体に対して、より的確に金融制裁や入国禁止を科すことができるようになる。
昨年12月7日、超党派議員から構成する豪上院の外務・防衛・貿易常設委員会は、1年間の調査を経て、『犯罪、腐敗、不処罰:オーストラリアは世界のマグニツキー運動に参加すべきか』と題した報告書を提出した。
報告書は豪政府に対して、米国と同じくマグニツキー人権法を制定し、深刻な人権侵害や汚職を犯した外国人に対して、政府が査証(ビザ)や財産に関する制裁を科す権限を持つべきだと求めた。
ペイン外相は5日の声明で、豪州の制裁法の改革は、マグニツキー人権法に関する外務・防衛・貿易常設委員会の報告書への対応の一環として行われると示した。
自由党のジェームズ・パターソン(James Paterson)上院議員は同日、フェイスブックに投稿し、政府の決定は「民主主義と主権の新たな勝利だ」とした。同議員は豪州版マグニツキー人権法の立法に取り組んでいる。
議員は投稿のなかで、「モリソン政権は、人権侵害したり、汚職したり、豪州の国家安全保障を脅かしたりする外国人を取り締まるために、マグニツキー人権法のような制裁法を導入することにすでに合意した」と強調した。
(翻訳編集・張哲)