中国の主要官製メディアはこのほど、大阪市の地下水から基準値を超える有機フッ素化合物が検出されたことを一斉に報じた。中には歪曲報道を行うメディアもあり、ネットユーザーからの批判にさらされている。
最初に報じたのは経済ニュースサイトの中国経済網。6月28日、「有機フッ素化合物が基準値の110倍!大阪の地下水汚染が深刻」と題する記事を掲載した。各官製メディアも相次ぎ報道を行った。
その後、ネットメディアを中心に報道が過熱した。中には「地下水」を「飲用水」に置き換え、「日本の飲用水の水源のフッ化物が基準超え」「飲用水の発がん物質が基準値を大幅超え」などと事実を歪曲するものもあった。
一部の愛国主義者は「やっぱり中国の生活が幸せ」とネットに書き込んだ。
しかし、一部のネットユーザーが公開資料を調べたところ、中国の飲用水に含まれるフッ化物の目標値は、大阪の地下水の有機フッ素化合物の約182倍に相当することがわかった。
別のネットユーザーは、2015年のドイチェ・ヴェレの報道を引用し、世界で2億人以上がフッ素含有量過剰な水を飲み、うち約8千万人が中国人であると投稿した。また、2013年末時点での、中国人の歯と骨のフッ素症患者が2094万人にのぼると言及した。
「官製メディアがフッ化物含有量の基準に言及することを意図的に避け、日本の地下水に含まれる有機フッ素化合物が基準を超えていることだけを強調するのは、ただ単に側面から全体を説明して世論をミスリードしている」と指摘する人もいた。
日本の有機フッ素化合物の暫定目標値は、PFOS(ピーホス)、PFOA(ピーホア)の合計で1リットル当たり50ナノグラムに設定されている。国が実施した調査では、12都府県の21地点で水質管理の暫定的な目標値を超えていることがわかった。最も濃度が高かった大阪市の地下水は1リットルあたり5500ナノグラムで、目標値の110倍だった。
国は、目標値を超えた水はいずれも飲用水ではないが、長期間の飲用で健康に害を及ぼす恐れがあるとして、付近の住民に地下水などを飲まないよう、注意を呼び掛けている。
(翻訳編集・李凌)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。