中国共産党中央委員会機関紙「人民日報」の元首席記者で、海南省党委員会機関紙「海南日報」の元編集長でもある程凱氏は25日、大紀元番組「新聞大家談」のインタビューで、中国国営メディアの海外特派員は情報収集の任務を負っており、その半数以上がスパイであることを明らかにした。
共産党機関紙の「新華社通信」「人民日報」「光明日報」「経済日報」や、専門紙の「労働者日報」「農民日報」など海外支社に勤務する特派員はスパイとして働いていると、程氏はインタビューで語っている。
「共産党支配下の中国メディアは本物ではない」
程氏は、国営メディアの記者の知られていない職務を知ったきっかけを語った。人民日報に入社して間もなく、交通事故で亡くなったある人民日報のアルジェリア特派員の追悼式に出席した。式には人民日報社の社長や編集長だけでなく、調査部(中国の情報機関、現・国家安全部)の幹部も多数出席したという。
「後に同僚から聞いたところによると、死者は、『人民日報』の記者であると同時に、国家安全部の秘密工作員(スパイ)でもあった」と程氏は言う。
当時、人民日報は海外に40以上の支社を持っていた。程氏によると、これらの特派員の半数以上は、国家安全部の職員であった。彼らは『人民日報』の記者証を使って活動していたが、一度も記事を掲載したことはなかった。彼らの仕事は、情報を集めることだった。
それとは別に、人民日報から派遣された記者もいた。彼らは主に報道を担当していたが、諜報活動も行っていた。彼らが書いた記事は「人民日報」に掲載されただけでなく、「内参」(中国共産党上層部が参考にする資料)として中央政府に直接送られていたという。
程氏は、「この2つのグループは、それぞれの担当分野は違うが、いずれも情報収集の役割を担っている。だから、『党の指導』下にある中国のメディアは、本物ではない」と指摘した。
情報機関、国内でも記者を装ってスパイ活動
海外だけでなく、中国の情報機関は記者の身分を利用し、国内でスパイ活動を行っている。
程氏はインタビューで、海南省の情報機関から記者証の発行を依頼されたことがあると話した。「海南日報の編集長に就任した直後、省委員会弁公庁から公安部に10枚、安全部に10枚の計20枚の記者証を発行するよう言われた」
発行前に、程氏はこれらの記者証を利用した人が何か問題を起こした場合、自分が責任を取るのかと質問したところ、相手は「あなたが関わる必要も、責任を取る必要もない」と答えたという。
程氏は、「20枚の記者証が誰に渡されたかは不明だ。彼らは記者証をスパイ活動に利用している。国家安全部だけでなく、地方の情報機関もそれぞれの管轄区域で、市民反体制派の活動を監視するなどのスパイ活動を行っている」と述べた。
中国共産党の対外浸透の深刻さ
程氏によると、諜報活動に加えて、中国の国営メディアが海外に派遣されるもう一つの目的は、米国などの民主主義国家に浸透し、共産主義や社会主義の思想を広めることである。
中国国営中央テレビ局(CCTV)は米首都ワシントンで多くの米国人を雇用し大規模な制作センターを持っている。番組をケーブルテレビで放送するほか、最近では地上波放送にも進出している。また、人民日報や新華社通信など他の国営メディアも、それぞれの方法で浸透しているという。
「実は、中国の国営メディアは簡単に見抜くことができる。いずれも中国当局からの資金提供を受けている。トランプ前政権は、これらの中国メディアに資金源の開示を求めていた」
程氏は「中国共産党の対外プロパガンダが今、米国を中心とした西側諸国に深く根付いている。このままでは、根絶は不可能だ。特に米国の現政権は中国共産党の浸透工作に対する警戒心がより薄い」と指摘した。
メディアの現状について、程氏は「大紀元や新唐人など、法輪功学習者が設立したメディアを除いて、中国共産党の買収・浸透を拒むメディアはほとんどない。主流メディアの中でも、報道の公正性や独立性を維持できる記者は少なくなり、ほとんどが中国共産党のプロパガンダに協力している」と語った。
1989年の天安門事件の際、程氏は編集長を務めていた海南日報を通じて学生の民主化運動を支援したとして、党内外全職務を解任され、党籍を剥奪された。江沢民政権(当時)から追及を受け、投獄を避けるために、米国に亡命した。
(翻訳編集・王君宜)
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