「この拷問を受けたとき、死んだ方がまだマシだと思った」
中国で伝統的な修養法、法輪功の学習者は23年前から弾圧を受け続けている。学習者に信仰を放棄させるため、刑務官らは様々な拷問を加えている。手のひらに乗るほど小さな椅子に長時間、座らせることもその一つ。冒頭の一文はある経験者が当時を振り返り、発した言葉だ。
法輪功の情報を伝えるウェブサイト・明慧ネットによると、刑務所の受刑者の話では、この「小さなイス」は元々は死刑を宣告されたマフィアの犯人が考えた拷問方法だという。
看守らはこの方法を使用後、効果が「非常に良い」ことが分かり、各地に広めたという。この拷問を受けた囚人は、通常1日もかからず、倒れてしまうという。
冒頭の言葉を発した法輪功学習者は、「この小さなイスは目立たないが、それが実際に肉体や精神に与える苦痛は言葉では言い表せないようなものだ。一日が一年のように長く感じる」と説明した。
手のひらサイズの小さなイス
現在、米国バージニア州に住む女性法輪功学習者の王春彦さんは、以前は大連で成功を収めた貿易企業家だった。彼女は法輪功の修練を放棄しなかったため、2003年1月9日に遼寧省の女子刑務所に送られた。
彼女は大紀元に対し、自分は刑務所にいたとき、法輪功の主要書籍「転法輪」を持っていることが見つかったため、この小さなイスに一週間座らせられたと述べた。
王さんが座わらせられた小さなイスは、高さ3センチ、長さ5.6センチ、幅2.35センチほどの、手のひらに収まるほどの極小サイズだったという。
「朝の6時から夜の9時30分まで同じ姿勢で長時間も座らせられる。長時間座れば臀部に炎症ができ、夜寝るときはうつ伏せになるしかない。臀部にかさぶたができても、翌日また同じ姿勢で座るため、傷口が広がり、一週間もしないうちに臀部が血だらけになった」と振り返った。
小さな丸い突起のある小さなイス
現在米ニューヨークに住む男性法輪功学習者の高建明さんはもとは製鋼工場のエンジニアだった。彼は1995年5月から法輪功を修煉し始め、長年苦しんできた偏頭痛と胃の病気から全快した。
中国当局が1999年に法輪功への弾圧を始めて以来、高さんは2回にわたり強制労働させられ、刑務所に3年間送られた。
高さんは北京と天津の刑務所にいる間、表面に小さな丸い突起のある小さなイスを朝6時から夜11時半まで強制的に座らせられる拷問を受けたという。
「背筋を伸ばして、目線はまっすぐ前に向けなければならない。両手は膝の上に置き、両膝をぎゅっと合わせ、背もたれに触れることを禁じられた」
「そんな姿勢を保つよう、犯人2人によって非常に厳しく見張られた」
「とにかく腰が非常につらかった。当時、このイスの拷問以外ならば、他のどんな拷問でも受けたいと思った」と高さんは説明した。
山型の小さなイス
現在米メリーランド州に住む法輪功学習者の王虹さんはかつて遼寧省本溪市の溪湖刑務所の中で山型の小さなイスに掛けるよう命じられた。
長さ約30センチ、高さ約20センチ、幅約10センチのイスの両側から約60度に傾いた2枚の小さな板を釘付けして、山のような尖がりを形成したものだ。
「人はこの尖った刃の上に座らせられる。座れば、まるで骨に食い込まれるような感覚を覚える。30分も座れば、床に倒れてしまう」
「ずっと座っていないと(数人に)殴られる。彼らは私の背中から、心臓部を目掛けて、足を高く持ち上げてかかとを使ってそこを強く激しく蹴るのだ。その後、またもこの小さなイスに座らせられる」と王虹さんは説明した。
同刑務所は王さんに法輪功の修煉を放棄させるため数日間、一睡も許さず、小さなイスに座ることや激しい殴打などを繰り返した。
今なお続けられる迫害
明慧ネットによると、20数年続く迫害の中で、中国当局は法輪功学習者に対して行った拷問は100種類を超えるという。
2020年7月、世界30か国の600人以上の現役・元議員が共同声明に署名し、中国共産党に法輪功に対する「組織的で残酷な」迫害を直ちに停止するよう要求した。
声明の中で、「1999年7月以降、数百万もの中国の法輪功学習者が正当な手続きを経ずに恣意的に逮捕・投獄され、多くの人が残酷に拷問され、されには殺害された」と述べた。
法輪功は1992年に中国で公開された気功修煉法。学習者は「真・善・忍」に従い自らを律し、多くの人が心身ともに健康になった。当時の中国で学習者の人数が7000万人に上るほど爆発的な人気を得た。法輪功への嫉妬と共産党政権に対する脅威への懸念から当時の江沢民国家主席は1999年7月20日、法輪功への弾圧に踏み切った。
(翻訳編集・李凌)
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