台湾を拠点とする著名学者J・マイケル・コール(J Michael Cole)氏は、自身のリンクトイン(LinkedIn)中国版ページがブロックされたことを明かした。個人データに「禁止内容」が含まれているためだとしている。同氏はかつて、台湾支持および反中国共産党関連の書籍を執筆していた。
カナダのシンクタンク「マクドナルド・ローリエ研究所」( Macdonald Laurier Institute、MLI)の上級研究員であるコール氏は現在、台湾に住んでいる。同氏のリンクトイン中国版ページに、これまで出版した本を全てリストアップしていた。いずれも台湾、民主、増大する中国共産党の脅威に関連する内容となっている。
リンクトインは1日、これらの内容を「禁止内容」と判断し、「変更、または削除しない限り、ページはリンクトイン中国版のサイトでは表示できない」とコール氏宛てのメッセージに書いた。
「私たちは言論の自由を積極的に支持しているが、中国で事業を展開する条件として、中国の規則を遵守しなければならない」とリンクトインは述べた。
コール氏はリンクトインの反応には「驚いた」と語った。
また、「この動きは中国政府がリンクトインなどSNSに対する圧力を強めていることを示している」とコール氏は考えている。
同氏は、リンクトインの対応は「利用者に自己検閲を促している」と見ており、「もちろん、そんなことは全く受け入れられないことだ」と拒否する考えを示した。
リンクトインの言論検閲は今回が初めてではない。莫乃光(チャールズ・モック)香港元立法会議員もかつて、天安門事件に関する文章を投稿したため、リンクトイン中国版によってアカウントをブロックされた。
天安門事件で学生運動指導者だった中国出身の周鋒鎖氏も同様に、リンクトインにブロックされたことがある。後にリンクトインは彼のページ表示を再開させたが、ブロックは「システムエラーだった」と主張している。
米マイクロソフト(Microsoft)傘下のビジネス向け交流サイト(SNS)であるリンクトインは、2014年に中国語版サービスを開始した。リンクトインは、サイトに投稿する内容を中国政府の意向に沿った言論統制に合意している。そのため、ほとんどの米大手SNSが中国で利用禁止されているにもかかわらず、リンクトインだけは中国国内から直接アクセスが可能だ。
米紙ニューヨーク・タイムズは2019年、中国の情報機関が、リンクトインの偽アカウントを使って、米政府や民間企業の機密にアクセスできる米国人をスパイに仕立てようと画策していると暴露した。
「中国市場に参入するためには中国当局のルールに従って行動しなければならない。そうすれば罰されることはない。彼らの仕事は金儲けだけだ」と米戦略国際問題研究所(CSIS)の上級研究員であるジェームス A.. ルイス(James A. Lewis)氏は指摘した。
中国政府による多国籍企業への言論統制に対応し、米超党派議員グループは2月下旬、ある法案を提出した。同法案は、バイデン政権に中国による米国人や米国企業に対する言論検閲や脅迫およびその影響を追跡し、対処するよう求めている。
法案発起人の一人である共和党のジョン・コーニン(John Cornyn)上院議員は、「中国政府は長年にわたり、自分たちに反対する者を威嚇し、黙らせるために、政治的な検閲を武器としてきた」と指摘した。
コーニン氏は、政府はこの分野でより大きな役割を果たすべきだと主張した。「アメとムチ」を適切に組み合わせて立法しなければ、民間企業の行動を変えることは難しいだろうと指摘した。
(大紀元日本ウェブ編集部)