中国河北省当局は5月20~21日、2日連続で100人以上の警官を出動させ、隣省である河南省新郷市の修道院を包囲した。主教と司祭7人、修道士10数人が連行された。
中国で5月から「宗教教職人員(聖職者)管理弁法」が施行されて以来、中国政府公認のカトリック教会「中国天主教愛国会(以下、愛国会)」への参加を拒む宗教聖職者に対する初となる大規模な逮捕行動だ。
「ラジオ・フリー・アジア」の報道によると、今回逮捕された河南省新郷教区の張維柱・主教は1991年にバチカンから任命されている。しかし、張氏は「愛国会」への参加を拒否したため、中国当局から承認されていない。
同氏はこれまで何度も投獄された。バチカンの公式ニュースサイト2001年の報道によると、張氏は当時、中国当局によって1年以上も軟禁されていた。
河南省新郷教区には約10万人のカトリック信者がいる。彼らは河北省で工場を借りて修道院を設立し、そこで神学を教え、聖職者を育成している。
多数の警官が投入されたことから、今回の逮捕は以前から計画されたものとみられる。当局はまた、周辺地域の家を一軒一軒まわり、逃亡した修道士の行方を追っている。
イタリア国営テレビ「TG1 」チャンネルは、最近、中国当局が各地でカトリック礼拝堂や十字架を撤去する映像を放送した。番組は、このような激しさを増す信教の自由に対する弾圧は、中国とバチカンの間で交わされた合意に違反するものではないかと疑問を呈した。
5月1日から中国で「宗教教職人員(聖職者)管理弁法」を施行した。宗教教職者は「祖国を熱愛し、中国共産党の指導を擁護し、社会主義制度を擁護すること」などと規定している。
同法を施行した翌日、浙江省温州市のキリスト教会での説法の様子を撮影した動画がネット上に流れた。宗教教職者は聖書を引用しながら、習近平氏の政治スローガンを繰り返し、共産党の政治宣伝を行っていた。
「党への厳しく高レベルな忠誠が求められている」「教職者があたかもテロリスト予備軍かなにかと疑ってかかるような管理強化条文だ」と嘆く声も関係者から上がっている。
バチカンと中国は、2018年に主教任命に関する暫定合意を交わした。それ以来、中国当局による非公認教会への迫害が激化している。中国の多くのカトリック教徒は同合意に裏切られたと感じている。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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