財務省が5月13日に発表した国際収支統計によると、日本からASEANへの対外直接投資(ネット、フロー)は2021年1~3月の期間で、前年同期比2.3倍の1兆2869億円だった。
日本の最も多い対外直接投資先は北米向けで全体の40%を占め、2兆7000億円。次はASEAN向けで20.5%、1兆2869億円だった。欧州向けは13.8%、8679億円。中国は4.1%で2546億円だった。
ASEANのなかでは、直接投資が多かったのはシンガポールで8444億円。次いでタイが1547億円、マレーシアが1490億円、インドネシアが680億円、ベトナムが666億円、フィリピンが315億円だった。
近年の日本企業による大型取引の例は、2021年1月、日本の塗料大手日本ペイントホールディングスのアジア事業の展開に向けた買収策がある。日本ペイントは、シンガポールの塗料大手ウットラムグループからの増資1.3兆円を受け付けて、両社アジアの合弁会社子10社およびインドネシアの同社系列会社を日本ペイントを完全子会社化した。両社は、アジア地域の展開に協力する。
このほか、近年の日本企業の投資例は、2020年の3月のスズキのミャンマー新工場(約120億円)、10月の日清食品ホールディングスによるタイ孫会社の増資(約152億円)、11月の太平洋セメントのフィリピン・セブ工場の生産増強(約300億円)などがあった。
アジア開発銀行(ADB)は4月28日、2021年版アジア経済見通しを発表。東南アジアの2021年の成長率は4.4%とした。ワクチン接種プログラムと拡張的な金融財政政策により、内需の回復が期待されると見ている。
国際通貨基金(IMF)もまた、同様の数字を示している。4月6日に発表した「世界経済見通し」で、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムのASEAN5カ国の成長率は4.9%と予想した。
(佐渡道世)
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