仏外相が訪印 インド太平洋地域で足場固め

2021/04/16
更新: 2021/04/16

ジャン=イヴ・ル・ドリアン(Jean-Yves Le Drian)仏外務大臣は4月13日から15日にかけて、インドを公式訪問した。在印フランス大使館によると、今回の訪問の主要な目的は様々な分野において、特にインド太平洋での戦略的な協力を強める方針を示す。仏当局者は、インド外務省及びインドのシンクタンクORF(Observer Research Foundation)が開催する多国間フォーラム「ライシナ対話2021(Raisina Dialogue 2021)」に参加した。

仏主要紙ル・モンドは、今回のドリアン外相出張は、フランスがインド太平洋地域における中国の野心から自国の利益を守るために、インドでの足場を強化する狙いがあると報じた。今回、フランス、インド、オーストラリア間の、初めて閣僚レベルの3国間対話を行なった。フランスはインド太平洋地域に、数百万キロ平方メートルの排他的経済水域を保有する。

13日、ドリアン外相はナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相、スブラマニヤム・ジャイシャンカル印外務大臣(Subrahmanyam Jaishankar)と会談し、貿易や防衛、気候、移民、流通、衛生、教育、特に中共ウィルスとの闘いにおける両国間の協力を強調した。

14日、ドリアン外相は2016年から開催されてきた地域防衛フォーラム「ライシナ対話」に出席。プラカシュ・ジャベードッカー環境相とともに、フランス大使館で開催されるパネルディスカッションにも参加し、COP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)を念頭において気候変動に対する世界的な協力について議論を行った。

ドリアン外相は訪問の最終日、ベンガルールを訪問。健康や生物科学の面における協力機関や有人宇宙飛行を実現させるための施設「Human Space Flight Centre(HSFC)」を訪ね、フランスが魅力的な投資先であると宣伝するため、インドの主要ビジネスグループのCEOや投資家とも面会した。

在印フランス大使館によると、1月7日の両国間戦略対話と1月28日から31日のフランスの環境連帯移行省大臣の訪問に続いて、今年3回目のフランスからの高レベルの公式訪問であるという。

日本が推進してきた地域戦略である「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」に、フランスは欧州のなかで早期に受け入れてきた。二松學舍大学国際政治経済学部専任講師の合六強氏は、シンクタンク・平和安全保障研究所の文章で、フランスは、地域の「インド太平洋パワー」を自認しているという。

「同地域に150万人の仏国民が住む海外領土や世界最大規模のEEZを有しているからだ。また両海域には基地があり、約7000人の兵力が駐留する。これらは、フランスが地域の当事者で、それゆえその関与が真剣であることを打ち出すため」と合六氏は分析している。

防衛省によれば、統合幕僚長の山崎幸二陸将は15日、ライシナ・ダイアローグ2021に参加。インド国防参謀長ラワット陸軍大将とオーストラリア国防軍司令官キャンベル陸軍大将とともにパネル・ディスカッションに出演し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた自衛隊による貢献について紹介した。そして、法の支配に基づく国際秩序維持のため、各国の強固な連携の重要性について語った。

(蘇文悦)

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