バイデン大統領は16日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催されたCNNタウンホールイベントで、中国の人権弾圧政策を擁護する発言を行い、波紋を広げた。ポンペオ前国務長官は同発言について「中国共産党のプロパガンダに同調している」と批判した。
バイデン氏はイベントで、中国政府が新疆ウイグル人を弾圧していることについて意見を求められた際、「歴史上、中国が諸外国の犠牲になったのは、常に国内が統一されていなかった時だ。そのため、習近平国家主席にとって最も重要な原則は、統一され、厳しく統制された中国がなければならないことだ。彼はこの理論に基づいて物事を進めている」と述べた。
中国共産党政権が新疆ウイグル人に加えた人権侵害は非難を浴びている。新疆では、およそ百万人のウイグル人や他の少数民族が強制収容所に拘禁されている。ポンペオ前国務長官は退任直前、ウイグル人への人権侵害を大量虐殺に認定した。
バイデン大統領はさらに、「米国の価値観を反映しなければ、いかなる米国大統領も大統領としての地位を維持することはできない」と述べた。
大統領は習氏に対して、新疆ウイグル人と香港市民への弾圧、そして増加する台湾への軍事的威嚇についても反対を表明した。
彼はさらに、「文化的には、それぞれの国に異なる規範があり、その国の指導者はそれに従うことを期待されている」と付け加えた。
ポンペオ前国務長官は17日、FOXニュースのインタビューでこの発言を非難した。
「この『ただ異なる規範を持っているだけだ』という言葉は、中国のプロパガンダ路線だ。彼らはあなたにこう思ってほしいのだ。つまり、『彼らは大人しい国で、ただ少し違ったシステムを持っている。何を騒ぎ立てているんだ?』と」
「真実は何かというと、彼らは一つの民族を丸ごと抹消しようとしていることだ」と彼は付け加えた。
バイデン政権は、米国が中国共産党の様々な侵害行為に対して責任を問う用意があることを示唆しているが、中国政府は、それは中国共産党の「レッドライン」に踏み込むことになり、「越えてはならない一線」だと警告している。
今月初め、中国共産党外交担当トップの楊潔篪国務委員は、香港、チベット、新疆での「干渉」を止めるように米国に呼びかけ、これは中国の「内政問題」だと述べた。
楊氏は、「レッドラインを超えるいかなる言動も米中関係と米国自身の利益を損ねるだろう」とバイデン政権を牽制した。
トランプ前大統領も退任後初めてのインタビューでバイデン大統領の対中政策を批判した。
「長期にわたって中国と利益関係にあるバイデン一家は、中国共産党に弱みを握られている」と述べた。