日本、中国の南シナ海の領海主張を拒否 国連あてに文書提出

2021/01/29
更新: 2021/01/29

日本の国連代表部は国連事務局に宛てた1月19日付の外交文書で、中国の南シナ海における領域の主張は国際条約に則っておらず、正当性はないとした。また、中国は航行や飛行の自由を制限しようとしていると非難した。

中国は「南シナ海の島々や岩礁に領海基線を引くことは、国連海洋法条約(UNCLOS)と一般的な国際法に準拠している」と主張しており、周辺諸国の反発を招いている。日本は今回の口上書で、中国のこのような主張を否定した。

日本当局は、南シナ海仲裁裁判所の判決に中国が従っていないことにも触れた。事実、仲裁裁判所は2016年7月、中国の主張は「国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」と判断した。南シナ海のほぼ全域(九段線)に領有権があるとする中国の主張は、国連海洋法条約に違反しており、中国による大規模な埋立て及び人工島の建設で、サンゴ礁の自然環境に重大な損害を与えているなどと判断された。

文書では、日本の航空機が南沙諸島ミスチーフ礁周辺空域を飛行したことに対して、中国が抗議したと明かしている。この中国の行動から、日本当局は「中国は地域の飛行の自由を制限しようとしている」と非難した。

これまで、アジアや欧州の主要国も、国連に対して、中国の南シナ海の領有権主張に異議を申し立てたことがある。フランス、ドイツ、イギリスは2020年9月、国連に共同文書を提出し、中国の領海基線と歴史的権利の主張は国連海洋法条約と矛盾していると主張した。

米海軍大学校のアイザック・カードン助教授はラジオ・フリー・アジアの取材に対し、「日本は、米国や欧州、アジアの国々と共に中国に正式的に抗議することで、中国の主張を拒否するという戦略的な外交努力に加勢した」と語った。

国連海洋法条約は、海域や接続水域、海洋資源の調査、航行と飛行の自由を対象とした国際条約。2021年1月までに168カ国が批准を表明している。

他国との緊密な連携が不可欠

日本は南シナ海の領有権者ではないが、外交において同海域への関与を表明している。菅義偉首相は就任後、最初の外遊でベトナムとインドネシアを訪問した。渡航前の会見で、菅首相は、「日本はインド太平洋諸国として、地域の平和と繁栄ために貢献する。この決意を国内外に示したい」と語った。

日本企業はベトナムとの共同海洋エネルギープロジェクトに署名し、同国とは防衛輸出協定も結んだ。フィリピンは、日本から海上保安庁の艦船やレーダーシステムを購入している。

また、自衛隊艦船は、南シナ海で米国や他の同盟国との共同演習に参加している。2020年7月、海上自衛隊は南シナ海からグアム周辺海域で、米海軍とオーストラリア海軍に共同訓練を実施した。原子力空母「ロナルド・レーガン」を含む9隻の艦船と航空機が戦術訓練を実施、南シナ海の領有権を主張する中国をけん制した。

インドの専門家は、南シナ海での中国の立場に異議を唱える日本の決断は、東シナ海の尖閣諸島をめぐる中国との紛争にも関連している可能性が高いとみている。

1月20日、外務省の船越健裕アジア大洋州局長は、中国外務省の洪亮・辺境海洋事務司長とテレビ会議方式で会談した。船越氏は沖縄県・尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵入に懸念を伝え、双方は意思疎通を継続する重要性を確認した。

この会談の数時間前に、日本当局は国連に対し、南シナ海での中国の行動を非難する文書を提出した。ジャワハルラール・ネルー大学のプージャ・バット氏は、日本の行動はインド太平洋諸国の「安全で自由な貿易と航行を求める」考えを反映しているとした。同氏は、貿易と安全保障上の要所である南シナ海は、「世界の平和と安全に影響を与える公海だ」と説明している。

菅総理大臣は28日、米バイデン大統領と電話会談し、日米同盟の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、緊密に連携していくと確認した。米ホワイトハウスもまた、日米首相の電話会談について声明を発表した。両首脳が日米同盟の重要性を確認し、「尖閣諸島を含む日本の防衛に対する米国の不変の関与について話し合った」ことを明らかにした。

(翻訳編集・佐渡道世)

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