中国政府はこのほど、中国海警局に「中国領海」における外国船舶に対して武器使用を認める「海警法」を成立させた。フィリピン大統領府は、武力行使は国際法の下で禁止されているとし、いかなる国も南シナ海の状況を悪化させないよう警告した。
中国の国会にあたる全国人民代表大会の常務委員会で22日、中国が管轄する海域に違法に入った外国の船舶が停船命令や立ち入り検査に従わない場合、海警局に武器の使用を認める「海警法」が成立した。
フィリピンのハリー・ロケ(Harry Roque)大統領報道官は25日、大統領官邸で記者会見し、一般的な国際法の下では「武力の行使は通常、禁止されている」と指摘した。
また「南シナ海問題に関わる国々が、同海域の状況を悪化させる動きをしないことを望んでいる」と警告した。
ロケ氏はさらに、同国のロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、「南シナ海での行動規範ができるだけ早く策定されることを望んでる」と述べ、「南シナ海のすべての主権国がこの行動規範を遵守するよう」呼びかけた。
中国と東南アジア(ASEAN)各国は、南シナ海での紛争を回避するため「行動規範」の策定交渉を進めている。
フィリピンのキコ・パンギリナン(Kiko Pangilinan)上院議員はこのほど、中国共産党の「海警法」は同国の経済水域を侵害する外国法であると強調したうえで、インドネシアやベトナムも中国共産党の威嚇に怯んでいない、と述べた。
南シナ海は年間5兆ドル相当の海運貿易の輸送路となっているほか、石油や天然ガス資源も豊富だ。中国は南シナ海のほぼ全域にわたって主権を主張している。
フィリピンも自国200カイリの排他的経済水域(EEZ)の範囲で、南シナ海の部分的な主権を主張している。
しかし、北京当局が管理しているスカボロー礁周辺海域、クアテロン礁、ファイアリー・クロス礁、ガベン礁、ヒューズ礁、ジョンソン南礁、ミスチーフ礁、スビ礁など南沙諸島の島礁はいずれも、フィリピンが主張するEEZの範囲に含まれている。
日本の茂木外務大臣は先日、中国で成立した「海警法」に対して懸念を表明し、注視していくとともに、バイデン新政権との連携強化を検討すると述べた。
また日本の外務省高官も、「南シナ海の現状は今、旧オバマ政権よりも深刻であることを米国に理解してもらうためにコミュニケーションを取る」と述べた
(大紀元日本ウェブ編集部)
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