大手SNSのフェイスブック(Facebook)は昨年8月以降、Qアノンなど「暴力を誘発する陰謀ネットワーク」や「軍国主義の社会運動」に関連するコンテンツは、公共の安全性に危険をもたらすとして、フェイスブックおよび傘下のSNSであるインスタグラム(Instagram)にある、計7万8000以上のアカウントを削除したと公表した。
フェイスブックは声明で、「私たちのプラットフォーム上でこれらの運動やグループを組織化し、促進しているアカウントに注目し、(検閲などの)対応を強化し続ける」とした。また、こうしたグループは常に取り締まりを避け、検閲をくぐろうとしていると指摘した。「人々の安全を守るために、彼らがどのように進化していくかを研究し続ける」と付け加えた。
これらの反社会的とみなすグループやイベント、アカウントの削除方針について、フェイスブックは昨年10月に発表していた。今月19日の更新版によれば、昨年8月~11月30日までの間に、ポリシー違反として約3200ページ、1万8800のグループ、100のイベント、2万3300のFacebookアカウント、7400のInstagramアカウントを削除した。同時に、Qアノンに関するポリシー違反で約3000ページ、9800のグループ、420のイベント、1万6200のFacebookアカウントと2万5000のInstagramアカウントを削除した。
FOXビジネスの22日付の報道によれば、フェイスブックの広報担当は、1月12日時点で全体で約7万8000件のアカウントを削除したと答えた。
大手SNSのツイッターや動画共有サイトのユーチューブなど他のビッグテック企業も、ここ数週間で「危険なグループ」とみなす数万のアカウントを削除した。
ツイッターは11日、「これらのアカウントは、有害なQアノン関連のコンテンツを大規模に共有し、サービス全体でこの陰謀論の伝播に専念していた」として、同月6日に起きた米国議会議事堂襲撃事件を引き合いに出した。
この動きの発端は、ツイッターがトランプ氏のアカウントを永久停止したことにある。ドイツのアンゲラ・メルケル首相、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領、そして保守派議員、電子フロンティア財団、米国自由人権協会など複数の市民団体は、トランプ氏のアカウント停止を非難した。
米コーネル大学のMor Naaman教授の研究チームは24日、ツイッターにおける選挙不正に関する主張と、それを推進あるいは否定するアカウントについて、データ分析報告「VoterFraud2020」を発表した。それによれば、ツイッターは選挙不正に関して、トランプ大統領の個人アカウント(@realDonaldTrump)を含む9万9884のアカウントを凍結した。
報告によれば、選挙不正の主張に関する研究対象となった260万あまりのアカウントのなかに、Qアノンに関連するユーザーが3万4938あり、ツイッターはそのうちの64%を停止した。
Qアノンは、2017年頃に英語の匿名掲示板の「4chan」で、米政府の機密文書にアクセスできると自称するユーザー「Q」が謎めいたメッセージを書いたことから始まったとされる。アノンはアノニマス(匿名)をもじっている。彼らの主張には「グローバルエリートが悪魔のような小児性愛者の組織を抱える」という言説がある。
Qアノンの主張を肯定したマイケル・フリン米元国家安全保障顧問や、フリン氏の弁護士シドニー・パウエル氏など、著名な親トランプ派の人物もツイッターのアカウントを凍結された。
ツイッターは先週、就任式の1月20日の暴動に関与したとして、極左グループであるアンティファ(ANTIFA)に関連したいくつかのアカウントを停止した。著名なニューヨークの無政府主義者組織のアカウント(@TheBaseBK)もそのひとつである。
(JACK PHILLIPS/翻訳編集・佐渡道世)