中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染症の発生源を調査する世界保健機関(WHO)専門家一団が14日、中国湖北省武漢市に到着した。これに先立ち、米国務省は同市にある武漢ウイルスP4研究所に関する「ファクトシート」を発表した。このなかで、同所研究員は2019年秋には中共ウイルスに似た症状の病気を発症したと指摘。WHOに対して、調査を「徹底して透明性のある」ものにするよう促した。
WHOは数カ月にわたり中国当局と交渉した末、中共ウイルスの発生源調査を行う。専門家10人からなる調査チームは2週間の隔離期間を経て、研究機関や病院、初期の発生源とみなされる海鮮市場の関係者から聞き取りを行う。
国務省のファクトシートによれば、中国共産党は第三者機関によるウイルス起源の調査を組織的に阻止した。同時に、情報隠ぺいと虚偽の宣伝に資金を投入し、全世界で200万人あまりを死亡させる悲劇を引き起こしたと批判した。
さらに、武漢ウイルス研究所は、恐らく2016年に、新型コロナウイルスのSARS-CoV-2に96.2%類似するコウモリのコロナウイルスRaTG13の実験を始めた。実験は、自然にはみられない「新たな機能を獲得する(gain-of-function)」ための実験が含まれる。このRaTG13は、2013年に雲南省の鉱山でウイルス感染により死亡した労働者から採取した。
武漢ウイルス研究所は2003年のSARS発生後、世界的なコロナウイルス研究の中心となり、それ以来、マウス、コウモリ、センザンコウを含む動物を研究してきたという。
国務省は、事実の非公開が当然となっている中国共産党政権は、国連決議である生物兵器禁止条約(BWC)に署名しているものの、生物兵器開発について明確な否定も文書化もしていないと指摘した。そして、武漢ウイルス研究所は、中国軍と秘密裏に共同プロジェクトを行っており、少なくとも2017年以降、中国軍のために動物実験と機密研究を行っていたとした。
WHO調査団の武漢入りについて、ポンペオ国務長官は、ウイルスの発生源に対する調査は国際公衆衛生や経済の復興、国際安全保障にとって重要だと強調した。徹底した調査が行われなければ、中国共産党政権は中国人民に圧力を加えて、再び流行病が起こりかねないと主張した。
1月17日には、米下院外交委員会の筆頭委員長であり、対中政策を提言する共和党組織「中国タスクフォース」代表を務めるマイケル・マコーネル議員もまた、WHO調査団の武漢入りを受けて、ウイルス起源の調査に徹底した透明性と公平性を求めた。
マコーネル議員は、一年前、WHOが「中国当局が行った初期調査では、武漢で確認された新型コロナウイルスのヒトからヒトへの感染の明確な証拠は見つかっていない」とツイートしたことに言及した。
「WHOは独自の分析もせずに、中国共産党から提供された話だけに頼った。中国は人を死に至らしめる感染症の大流行について、世界に嘘を振りまいてきた悪名高い国だ。その結果、WHOが事実を報道するよりも中国共産党に媚びることを優先したと理解していない世界各国は、発生への対応が著しく鈍化した」
2020年3月以降、マイケル・マコーネル議員は、ウイルス起源について公平で透明性のある調査を求めてきた。しかし、議員によれば、中国共産党は調査のための働きかけを妨害し、実施が遠のいた。同年6月、下院外交委員会でマコーネル議員は、中共ウイルスの調査として最終報告書を発表した。中国共産党の隠ぺい工作と、中国共産党をなだめるためのWHOの行動が、局地的な流行を世界的な大流行に変えたと指摘した。
WHO傘下組織の感染症対策組織GOARNの議長を務めるデラ・フィッシャー(Dale Fisher)博士は1月11日、WHOの武漢調査で新たな結論を出す可能性は「非常に低い」と述べた。ロイター通信主催の会議で述べた。
昨年のWHO武漢派遣団のメンバーだったフィッシャー博士は、今回の中国側との会議では情報交換が行われるため「重要だと思うが、結論という面では過大評価されるべきではないだろう」と述べた。
中国本土では新型コロナウイルス感染症が全国各地で確認されている。100万人以上の人口を抱える河北省廊坊市、石家荘市などは封鎖された。
例年3月に北京で開催される全国人民代表大会の前に行われる河北省の人民代表大会は延期を決めた。広東省と湖北省も同様の対応を取った。
湖北省武漢市の礄口区警察当局は12日までに、ウイルスの感染情報について「嘘を拡散すれば処罰される」と警告を発している。すでに一部の人々に対して取り締まりを行っていると発表した。
(翻訳編集・佐渡道世)
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