米当局、中国60組織を制裁リスト入り 「国防七子」すべてが制裁対象に

2020/12/24
更新: 2020/12/24

米国商務省は12月18日、制裁リストに中国の5つの大学を含む60の中国企業や組織を追加した。これにより、人民解放軍のために軍事開発を行う7つの大学、通称「国防七子」のすべてが米制裁リスト入りした。

制裁リストに追加された企業や組織は、米国企業から製品を輸入する場合、米当局の承認が必要となる。このため、実質的な禁輸措置となる。

今回の米商務省の発表によると、新たに北京理工大学、北京郵電大学、南京航空航天大学、南京理工大学、天津大学の中国の5つの大学がリスト入りした。5月にも、同省は別の13大学を追加した。米国は、これまでに合計18の中国の大学を制裁リストに加えた。

これらの18大学には「国防七子」と呼ばれる北京航空航天大学、北京理工大学、ハルビン工業大学、ハルビン工程大学、南京航空航天大学、南京理工大学、西北工業大学が含まれている。人民解放軍との繋がりが深い国防七子は軍事、兵器、装備、航空宇宙、電子情報、化学などの研究や開発に関わっている。

共同通信11月29日付は、日本の45大学が中国国防七子と学術交流協定を締結していると伝えた。報道によると、45校のうち16校は協定の見直しを検討すると回答しているという。

米トランプ政権は、米国のハイテク技術の盗用を防ぐため、中国の軍事に関わる研究者や留学生が、米大学の機密分野に入ることを禁止している。

しかし、専門家は、野心的に先端技術の入手を狙う中国共産党は、他国の大学や研究機関を通じて米国の制裁を迂回する可能性があると考えている。

実際、すでに厳しい制裁を受けている中国電子機器大手・華為技術(ファーウェイ、HUAWEI)だが、規制の抜け穴を使い、海外の通信企業と契約し、通信基地局の事業継続を試みている。

米商務省の12月18日の制裁リストには、中国半導体大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)と、小型ドローン(無人機)世界シェアトップの大疆創新科技(DJI)の名前も加わった。SMICについては「中国の軍民融合政策に基づく、中国軍産複合体との間にある活動を証拠にする」とある。

また、DJIは、中国科学器材公司、無錫中徳美聯生物技術(AGCUサイエンテック)、深圳光啟グループと同様に、「遺伝子の収集・分析の悪用、ハイテク技術を用いた監視により、中国国内の広範な人権侵害」に加担したと説明した。

トランプ米大統領は11月12日、米国の資本を搾取して軍の発展と近代化を図る中国共産党の脅威に対処するため、国際緊急経済権限法に基づく国家緊急事態を宣言した。

トランプ大統領は同時に発表された声明の中で、「中国共産党は『軍民融合』という国家戦略を通じて、中国の民間企業に軍事・諜報活動を支援して、国の軍産複合体の規模を拡大させている。これらの企業は表向きは民間企業でありながら、中国の軍事・諜報・安全保障装置を直接支援し、その開発と近代化を支援している」と書いている。

(翻訳編集・佐渡道世)