最近、ある内部情報筋がオンラインで、中国最大手の生物化学研究所・華大基因(BGI、深セン華大基因科技有限公司)による「人間改造」計画を暴露し、すでに「ゲノム編集の赤ちゃん」58人を誕生させたという。
12月8日、中国SNSの新浪微博に、自らを「中国国家遺伝子バンク細胞センター江蘇運営センター主任・王徳明」と名乗る人物の告発が公開された。王徳明氏は2018年5月20日のBGIの講演資料をもとに、同社が遺伝子操作で「人間をカスタマイズする」「人造生命」の誕生を計画していると書いた。
この講演にはBGIの汪建・理事長が登壇し、張敬華・中国共産党南京市委員会書記ら党幹部も出席している。中国メディアによると同日、南京市政府と同市江北新区はそれぞれBGIと、戦略協力枠組みの覚書に調印した。
公開された写真によれば、汪建氏の講演タイトルは「BGIが取り組んでいること:遺伝子編集、胚胎の改修、運命の修正?」「生命には無限の可能性がある、遺伝子は組み替えや書き換えが可能、永遠に命を保つこともできる」「人類史上に記録を残す人造生命の誕生は目の前にある」などと書かれている。
講演資料には他にも、BGIが参加したという58のヒト遺伝子編集に関する「ネイチャー」誌論文の紹介写真や、「クローン人間」「人工細菌」「合成遺伝子、人造生命」「完璧な人体」などの文字入り写真が紹介された。
告発者は、汪建氏が講演で、「(著名な台湾人女優)林志玲の卵子を取り出して某市長の精子と結合させる」や、「国家指導者の遺伝子データを集めて研究する」などの考えを口にした、と暴露した。
告発者は「まったく人間性がない」「倫理観のかけらもない」と計画を強く批判した。BGIと業務提携しているため、この告発は間違いないと強調している。
この告発は中国のSNSで関心を集めたが、現在は検閲対象となり投稿が削除された。BGIは告発が「事実無根」と否定し、警察に通報したという。
2018年、南方科技大学の賀建奎副教授は香港学術会議で、遺伝子編集でエイズ免疫を持つ双子の赤ちゃんを誕生させたと語り、中国科学界の生命倫理観のなさを露呈させた。国内外の世論の批判が強まり、中国共産党は同氏を逮捕した。2019年12月、賀建奎氏に非公開裁判で3年の実刑判決を言い渡した。
中国では遺伝子技術に関わる研究者が、倫理問題で取り締まられるケースはほとんどない。中国共産党は「技術大国」を目指しており、遺伝子を含む生命科学研究を優先研究課題と位置付けている。
BGI、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行に乗じて遺伝子を世界中から収集
BGIは中共ウイルスの世界的流行において、COVID-19迅速検査キットを少なくとも18カ国に販売した。ロイター通信によると、検査機器の一部はBGIの社会貢献部門により寄贈された。中国共産党の「ウイルス外交」の延長として各国駐在の中国大使館が推進した。
BGIは科学専門誌やウェブサイト上で、世界各国の医療研究者に対し、同社の機器で得られたウイルス関連データ、検査で新型コロナ陽性が確認された患者の検体を同社に送付し、中国政府が出資する国家遺伝子バンクを通じて広く共有するよう呼びかけている。
BGIは検査キットだけでなく、遺伝子配列を解析するシーケンサ技術の販路も広げている。シーケンサは遺伝物質の解析に使われ、重大な個人情報を解くカギとなる。このため、同取材に答えた米国の安全保障当局者は、中国当局側に渡るデータは、国家安全保障上の脅威になりかねないと懸念している。
米中国問題専門家のゴードン・チャン氏は12月5日、FOXニュースに出演し、中国当局は掌握しているDNAデータベースを利用して、特定の民族集団を対象とする生物兵器を製造しようとしていると述べた。チャン氏によれば、中国共産党は産業振興政策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画を通じて、世界のバイオテクノロジー産業の覇権を目指していると語った。
スティーブン・モッシャー(Steven Mosher)人口研究所の会長もチャン氏と同様に、2019年、大紀元英字の寄稿文で、中国共産党は世界規模のDNA収集計画を実行していると指摘。モッシャー氏は中国当局によるDNA収集と解析は、共産党の掲げる3つの武器「人民解放軍」「政治宣伝」「統一戦線」に加え、4つ目の武器だと主張している。
モッシャー氏によれば、中国共産党は非対称戦や非武力の浸透工作など、有事の線引きが分かりにくい現在の戦争形態を展開している。中国軍はハイテク、生物科学などの研究開発に力を入れ、「戦わずして勝つ」戦闘能力を高め続けていると分析している。
(翻訳編集・佐渡道世)