中国遼寧省では10月末、同省の国営エネルギー会社である瀋陽盛京能源発展集団有限公司(旧名は瀋陽城市公用集団、以下は瀋陽盛京能源)の社債2銘柄が不履行(デフォルト)になったことがわかった。同月、同省の国営企業のデフォルトは、自動車メーカーの華晨汽車集団に続き2社目となった。
ロイター通信29日付によると、瀋陽盛京能源が発行した社債、「17瀋公用PPN001」と「18瀋公用PPN001」のそれぞれの満期日は2020年10月31日と2021年8月10日となっていた。しかし、瀋陽市の法院(地裁)が瀋陽盛京能源の破産手続き開始の申し立てを受理したことから、この2つの社債の満期日は10月23日に繰り上げられた。このため、市場関係者らは、デフォルトの可能性があると注目していた。
同社の情報筋がロイター通信に対して、「2つの社債がデフォルトになったことは確かだ」が、10月28日に「債券担保側が代わりに全額支払った」とした。元本など総額は5億元(約78億円)とみられる。
また、事情を知る関係者は、デフォルトの主因は「債務超過だ」と指摘した。「瀋陽盛京能源は今まで、本業以外の多くの事業に手を出し、景気悪化で資金不足に陥った」という。
中国メディアの報道では、「債券担保側」は、瀋陽市国有資産監督管理委員会の配下にある遼寧瀚華融資担保有限公司だ。
中国金融市場では、「投資不過山海関(山海関より北の地方、つまり東北地方に投資しない)」との言い方がある。東北地方では長年、計画経済や国有企業の影響を強く受けており、市場化の度合いが低く、地方政府の行政効率が悪く、民間部門における法の支配が欠如しているため、外国人投資家が損失を被ることが多い。これを背景に、東北地方の企業に投資しないとの言い方が生まれた。
遼寧省の国営企業が相次いでデフォルトになったため、市場では同省の経済状況への懸念が高まり、他の事業体が発行する社債にも影響が出ている。ある債券ディーラーは、投資家の間で、遼寧省で他の国営企業の社債を売却する動きが加速していると述べた。他のディーラーは、「中国東北の3つの省の債券は、ほぼダメになった。投資家はポートフォリオを調整している」とし、浙江省などの地方債の買い注文が増えたという。
(翻訳編集・張哲)