各国は、中国資本への監視を強化している。今年の中国の対外M&A取引は151億米ドルで、前年同期比25%減となっている。
ブルームバーグは8月26日、今年の中国の対外M&A取引は151億ドルで、昨年の同時期に比べて25%減少し、2016年の最高額1960億ドルを大きく下回っていると報じた。中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行に加え、米国、インド、オーストラリア、欧州連合(EU)などによる主に中国の投資家を対象にした「外資に対する業界の厳格な審査」も取引減少要因の1つであると分析される。
公開情報によると、世界の多くの国が今年、国家安全保障を守るために外国投資に対する審査を強化しているという。先週を例にとると、オーストラリアと台湾の行動が大きな注目を集めている。
日本のビールメーカーである、キリンホールディングス(キリンHD)は25日、オーストラリアの子会社を中国の乳業大手への売却を取りやめたことを明らかにした。契約に不可欠なオーストラリア外国投資審査委員会(FIRB)の承認が得られないと判断したためだ。
オーストラリアは6月の初めに、同国企業または資源の買収を厳しく監視し、国家安全保障上のリスクがある場合には財務大臣はそれを阻止する権限を持てる、という最新の「外国投資改革計画」を発表した。
台湾経済部は18日、「9月3日以降、台湾の企業または個人が中国本土拠点のOTT(オーバー・ザ・トップ)のストリーミングのためにサービスを提供することは禁止する」と発表した。その時点で、iQIyI(アイチーイー)とTencent(テンセント)のWeTVという中国の二大人気ストリーミングサービスは禁止される可能性があるという。
同部はさらに24日、中国最大手のインターネット通販サイト「淘宝(タオバオ)」の台湾事業を手掛ける企業が中国資本であると認定した。1396万米ドルの罰金を科し、さらには6カ月以内に台湾から撤退するか、または再申請を命じたと発表した。台湾では、中国による経済的なコントロールを回避するため、中国企業による投資が規制されている。
台湾紙アップルデイリーは25日、「中国資本を厳しく審査する時が来た」と題した評論を掲載した。
同文では、「台湾経済部が『淘宝台湾』に対する行動は、同国の安全保障を守る上で重要な役割を果たした。疑わしい中国資本がさまざまな形で台湾に浸透し国家安全保障に影響を与えるのを防ぐために、厳密な調査と『実質的な管理』を行うことが重要だ」との見解を示した。
また文章には「台湾当局は最近、安全保障の観点から法を改正し、中国企業が別の外国企業を使用した迂回投資を防ぎ、また、中国の「政党、政府、軍事投資企業」による台湾投資も禁止することで、過去の検閲の抜け穴を塞いだ」
「国際情勢が急速に変化する中、台湾は自由民主の陣営にしっかりと立ち、主権と民主と苦労して獲得した自由を断固堅守しなければならない」と書かれていた。
台湾以外の国では、米国は「外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)」を成立させ、既に厳しかった外国企業の対米投資の審査規制をさらに強化した。
日本では先端技術が海外に流出することを防ぐため、今年6月に外為法の改正案が施行され、外国投資家による日本上場企業への投資を規制した。
現在、インド政府は中国企業が関与する50の投資計画を見直しており、新規・追加資本を問わず、すべてインド政府の承認を得なければならないという。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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