米国務省は6月10日、世界各国の信教の自由に関する2019年版報告書を発表した。ポンペオ国務長官は、発表に合わせて記者会見で、「中国ではすべての宗教に対する政府主導の弾圧がさらに強まっている」と述べた。同報告書は、これまでの内容と比べて、中国当局に弾圧されている伝統気功グループ、法輪功の迫害状況についてより詳細に記述した。
ポンペオ国務長官は、会見で「中国共産党は、宗教組織に党の支配に服従するよう命令し、共産主義の教義を各宗教の教えに取り入れるよう要求した。新疆ウイグル自治区では、多くのウイグル人が引き続き拘束されている。チベット人や仏教徒、法輪功(学習者)とキリスト教徒に対しても迫害を続けている」と強く批判した。また、長官は、中国当局は今も、法治や言論の自由を無視しているとした。
最新年次報告書は、「中国共産党は、党が運営する法外な行政機関を通して」法輪功などを弾圧しているとした。報告書は、法輪功情報サイト「明慧網」の報道を引用し、「今年(2019年)、中国の警察当局は、信仰の放棄を拒んだ法輪功学習者6109人を逮捕し、他の3582人に対して嫌がらせをした。年末時点では、法輪功学習者3400人が依然として拘束されている」などと指摘した。
また報告書は、2019年に法輪功学習者96人が迫害で死亡したと示した。そのうちの19人は刑務所、または警察の拘置所で死亡した。報告書の中では、死亡事例3件が詳しく取り上げられた。
2019年版報告書は、中国当局が法輪功学習者らを対象に行っている強制臓器摘出に関する各国の調査を紹介した。これによると、昨年、英国の医師会雑誌「BMJ Open」に掲載されたオーストラリアの研究グループの調査は、中国の臓器移植手術に関する学術論文について、「全体の99%を占める440本の論文は、ドナーの臓器提供の意思があったかどうかを意図的に報告しなかった」との見方を示した。
また、「(2019年)11月、オーストラリアの他の研究者が医療専門誌『BMC Medical Ethics(BMC医療倫理)』で発表した研究調査では、中国政府と医療機関は臓器移植のデータを改ざんした」と示した。
英国の独立調査団体「民衆法廷」が行った調査も、2019年版報告書の中に取り入れられた。
一方、同報告書は、法輪功学習者などを弁護した人権派弁護士、高智晟氏や江天勇氏らについても言及した。キリスト教徒の高弁護士は2017年9月、当局に逮捕されてから、消息不明となっている。
米国務省は、昨年7月16~18日までの日程で「信仰の自由を推進する閣僚会議(The Ministerial to Advance Religious Freedom )」を開催した。期間中、トランプ大統領、ペンス副大統領、ポンペオ国務長官、ジョン・J・サリバン国務副長官(当時)、サム・ブラウンバック国際宗教自由大使は、中国当局の迫害を受けたウイグル人イスラム教徒、チベット人仏教徒、法輪功学習者などと面会した。
(翻訳編集・張哲)