中共肺炎(COVID-19)が猛威を振るう北京では、地元当局が経済回復のために、このほど各企業に操業再開を号令した。しかし、北京市内交通機関の主要駅では、利用客の姿はなく、オフィスビルはがらんとしている。北京市民は収入の激減による生活苦を訴えた。
北京市にある自動車メーカーの関係者は、大紀元の取材に対して、「3月30日、稼働を再開したが、出勤できた従業員は全体の4割未満程度だ。他の2割の従業員は地元から上京できず、または隔離中の状態だ。残りの4割の従業員は、政府が決めた再開率を達成するために、地方にある他の工場に派遣された」と話した。ある従業員によると、北京市当局が市内各企業に対して、感染拡大を防ぐために、「再開率は50%を超えてはいけない」との通知を出した。
北京市民「収入減でストレス大」
国有企業に勤めている北京市民は、「ストレスを強く感じているから、もう北京に居たくない」と肩を落とした。給料が大幅に減ったにもかかわらず、物価は依然として高いことに不満を募らせた。
中国国際航空の客室乗務員として働く女性は、「感染拡大防止措置で、航空便がキャンセルされたため、今の月給は2千元しかもらっていない。しかも、毎回、北京に戻ってくるたびに、ホテルで14日間の隔離をしなければならない。家族に会えないし、収入も減っているから、精神的に辛く感じている」と語った。
20代の会社員は、「自宅勤務をしているが、実に大変だ」と訴えた。北京市内は移動規制が実施されているため、「どこにも行けない」と窮屈な生活を強いられたことに不満な様子だ。会社員は、「精神的な限界を感じたから、心療科の医師に電話をして相談した」と話した。
自動車メーカーの従業員は、「私たちの会社はすでに3カ月分の給料が滞っている。もう家賃を支払えなくなるかもしれない。中国で、2億の人が失業の危機にさらされているから、今仕事を辞めたら、再就職できるのかと、とても不安だ」とした。
ネットを利用した出前の配達員も「多くの企業が操業再開していないし、レストランも営業停止のままだから、稼ぎが悪い」と嘆いた。中共肺炎が発生する前は、「出前の注文が多かったので一日の収入が500~1000元までの水準にあったが、今は多くても100元余りだ」という。
出前アプリ大手「餓了麼(ウーラマ)」の配達員の1人は現在、出前アプリ「美団」を含む他のいくつかのアプリで配達員を掛け持ちしても、「それでも注文は少ない」と話した。
市民によると、中共肺炎による経済的な打撃によって、北京市の住宅価格が大幅に下落した。このため、住宅を売却する動きが出ている。
アパートを借りている市民は、「3カ月後に部屋から退去するようにと大家さんに言われた。大家さんは、アパートの価値が年末から20万元(約302万円)も目減りしたから、今、売却しないともう売れなくなると心配している」と話した。
北京市に30年以上住んでいる市民は、住宅価格がさらに下落するとみて、市内にある住宅物件を売却すると決めた。
一方、北京市内の各主要交通拠点(地下鉄駅、市バスターミナル、遠距離バスターミナル、タクシー乗り場)などが一カ所に集まる場所では、利用者が依然として少ない、閑散としていた。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。