2月22日、61人の国際的な学者たちが、中国の習近平国家主席宛ての公開声明で、中国人に言論の自由を与えるよう呼びかけた。
主な声明の作成者は米コロンビア大学政治学教授アンドリュー・ネイサン氏、プリンストン大学のペリー・リンク氏。両氏は2001年に共著で『天安門文書(中国六四真相)』を出版し、民衆を武力弾圧した共産党を批判した。それにより、入国禁止リスト入りした、他の共同署名者には、米のウィンストン・ロード元駐中国大使、ニューヨーク大学ジェローム・コーエン教授など。
書簡は、李文亮医師が中共ウイルス(新型コロナウイルス)感染症の流行に早期に警鐘を鳴らしたものの、当局に情報統制され、李医師も肺炎で死亡したと述べた。
書簡では、言論の自由の喪失は、事件の早期警戒を鈍化させ、感染症の蔓延を許し、2次災害を引き起こしたと批判した。
李医師の死により、中国世論では言論の自由を求める声が高まった。しかし、こうした中でも、中国人権活動家で元大学講師の許志永氏が2月中旬に逮捕された。反体制派への見せしめとみられる。
許氏は2020年の旧正月に新年挨拶文として、共産党政府による内政、外交、経済の後退を批判した。昨年12月にも市民集会を呼び掛け、参加者は許氏と同時期に逮捕された。
公開書簡では、許氏の見解は中国憲法に基づく言論と批判の自由の範囲だと強調した。しかし、当局は自由を抑圧し、権力の乱用と強制性は、憲法違反だと指摘した。書簡は、逮捕された許氏のほか、胡佳氏などの人権活動家の釈放も求めた。
フランスのセルジー=ポントワーズ大学で教鞭を取る張倫氏は今回の共同署名者の一人だ。「許氏の命運はすべての中国人に関係している」とラジオ・フリー・アジアの取材に語った。言論の自由の喪失は、今日の大きな災害を引き起こしているとした。
張氏は、過去、中国共産党はしばしば混乱を引き起こし、問題の核心から視点を逸らすために、言論の自由と公民の権利を個人から引き離す「権利の剥離」を行ってきたとした。これらは財産権同様、命そのものだとして「言論の自由と生きる権利は切り離すことはできない」と主張した。
上海交通大学医学院医学部長の陳国強氏や中国科学院の長江助教授などの医学専門家は、中国科学院のジャーナルに「新しいコロナウイルス感染症の流行について考える」を発表し、「事実をタイムリーに明らかにし、情報封鎖は排除するべきだ」と当局に呼びかけた。しかし、この論文はたちまち閲覧できなくなった。
アンドリュー・ネイサン氏は書簡を通じて、中国人および中国に関わる全ての人に、共産党に期待しないよう呼びかけている。「何億人もの中国人が彼ら自身のために主張するべきだ」とし、中共ウイルスの感染症の終息後も、中国人に飲食と同様に発言の自由の権利が与えられていないのならば、災害は再び発生するだろうと書いた。
(翻訳編集・佐渡道世)
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