中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染が拡大しているなか、中国の習近平国家主席は2月23日、北京で「史上初最大規模」のテレビ電話会議を召集した。中国政府系メディアによると、党指導部、各省・市政府関係者、各政府機関、軍や武装警察などの関係者約17万人が会議に参加した。会議を通じて、習近平政権は新型肺炎について直接、地方政府に号令し、対策を立てていく狙いがあるとみられる。
習主席は会議で演説を行い、中共ウイルスの感染拡大について、中国共産党政権が発足して以来「伝播速度が最も速く、感染の範囲が最も広く、感染防止対策が最も難しい重大な突発公共衛生事件だ」とした。「情勢が非常に厳しくて複雑だ」とも話した。国営新華社通信電子版は23日、習主席の演説内容を全文掲載した。
共産党機関紙・人民日報系ソーシャルメディア「侠客島」によると、党中央政治局常務委員と委員、国務委員のほかに、新型肺炎の感染拡大防止対策チームの責任者らが出席した。各地の省・市・県の各レベルの政府機関と各部門、軍、武装警察などでは、臨時会場を設け、会議に参加した。
「侠客島」は、当局が異例な電話会議を行ったことについて、「会議内容が非常に重要であることと、会議が非常に緊急であることが示されたほか、テレビ電話会議を通して、すべての会場にいる出席者が直接に上層部の声を聞くことができ、(指示を伝達する中で)情報の減少と消失や誤解を減らすことができる」と主張した。
大紀元コメンテーターの夏小強氏は、習政権は依然として「政令が中南海(政治の中枢)から出ることが難しい」との局面から脱していないと指摘した。多くの地方政府は、中央政府からの指示に抵抗し、命令を実施しないという。
夏氏が23日に発表した評論記事で、中共肺炎(新型肺炎)の感染が急速に拡大するなか、「多くの地方政府が表面的には中央政府の命令に従っているように見えるが、実際は各自に対策や措置を進めている」とした。
湖北省武漢市政府は、テレビ電話会議の翌日の24日午前に通知を出し、一部の封鎖措置を解除し、市内に滞在する他の地方の出身者などが市外に出ることを認めた。しかし、その約3時間後、通知を撤回した。市政府は、市防疫指揮チームの交通部門が「主要な幹部からの同意を得ることなく発表」したとし、同時に、防疫対策に関する「習近平総書記の重要な指示を徹底的に実行する」と強調した。
海外中国問題評論家や国内のネットユーザーの間では、武漢市の「朝令暮改」は地方政府と中央政府の対立を改めて浮き彫りにしたとの見方が広がった。
習近平氏は、地方政府が指導部の指令を棚上げにすることで、感染防止措置が失敗に終わり、自らが責任を負わなければならないことを恐れ、23日のテレビ電話会議を通じて、直接に下部・末端組織に対して命令を下したとみられる。
(翻訳編集・張哲)