ポンペオ米国務長官は2月4日、中国に向けて「個人用防護具や医療・人道支援物資を迅速に届けた」とツイッターに投稿した。中国外務省は3日、新型肺炎の感染をめぐる米政府の対応を批判し、「中国に対して大規模な支援を提供していない」とした。ポンペオ氏のツイッターは中国当局への反発だとみられる。
長官は投稿のなかで、「新型コロナウイルスに感染した中国人に、寄付された救命用の個人用防護具や医療・人道支援物資を迅速に届けることができた。これを誇りに思う。救援活動に寄付してくれた気前の良い米国の団体に感謝する」とした。同時に、支援物資が航空機に運ばれている様子の写った写真を投稿した。
中国外務省の華春瑩報道局長は3日、インターネット上で開催された定例記者会見で、米国を批判した。
華氏は、「米政府は今まで、中国側に実質的な支援を全く行っていない。そのうえ、真っ先に武漢市から大使館員を退去させ、他国に先駆けて中国国民の入国禁止措置を実施し、不安を煽り、不安を広げてきた」と主張した。
中国国内インターネット上では、華氏の発言に関して不満の声が相次いだ。ネットユーザーらは、「中国当局がメンツのために、意図的に米側の支援を否定している」
ネットユーザーらの投稿によると、米カリフォルニア州に本部を構えるNPO団体、ダイレクト・リリーフ(Direct Relief)が1月28日、武漢市に20万枚のマスクや防護服などを緊急輸送した。物資は1月31日に武漢市の各病院に送られた。また、武漢大学のカリフォルニア州同窓会なども今回の支援活動に参加した。しかし、中国共産党機関紙・人民日報は1月31日、SNS微博で、「武漢大学同窓会などが20万枚のマスクや防護服を含む医療物資を寄付した」と報道した。この投稿に対して、中国人ネットユーザーは「米国の慈善団体について一言も触れていない」と不満を示した。
米ボイス・オブ・アメリカ4日付によると、新型肺炎の感染拡大をめぐって、ボーイング、マイクロソフト、デル、カーギルなどの米大手企業や、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などを始めとする慈善団体は、中国赤十字社や湖北省政府に医療物資を提供した。ビル&メリンダ・ゲイツ財団はすでに500万ドル(約5億4840万円)の寄付金を中国側に提供した。
米保健福祉省(HHS)のアレックス・アザー長官によれば、米政府は1月に入ってから、中国に防疫専門家チームを派遣すると複数回、申し出ている。ロバート・オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は2月2日、米CBSに対して、中国当局から「いまだ回答がない」と明らかにした。
国内世論から疑問の声が高まったのを受けて、華春瑩報道局長は4日の会見で、「米側が何度も中国に支援を提供したいと表明しており、早期実現を期待する」と3日の発言を修正した。
華報道局長が米国批判を強めている一方で、日本の支援活動を高く評価した。4日の会見では、同氏は「感染が広がってから、日本政府と社会の各層が中国に多大な同情と理解、支援を寄せてくれた」と述べて称賛した。習近平国家出席は今年春に日本を国賓として訪問する予定だ。
(翻訳編集・張哲)
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