中国の広州市では今月9~10日までの日程で、「世界弁護士大会」が開催される。57カ国の法曹界と政府機関から約800人以上の関係者が参加する。しかし、中国当局は国内の人権弁護士に対して大会への出席を禁じたうえ、香港の抗議活動などについて発言しないよう強要した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が6日伝えた。
中国司法部(司法省)が公式サイトに掲載した大会の案内記事によると、出席者の半数は海外の各国の関係者だ。
中国国内の人権弁護士は、大会への出席を禁止されたことに強い不満を示し、大会のボイコット運動を呼び掛けた。
RFAによると、広州市に住む人権弁護士の隋牧青氏は、大会に出席できる中国人弁護士や法曹界関係者は「当局に指名された人だ」と話した。
隋氏は、過去中国の人権活動家、黄琦氏などの代理人を引き受けたことがあり、中国当局から嫌がらせや脅迫を受けていた。昨年2月、広東省司法庁は隋氏の弁護士資格をはく奪した。
隋牧青氏は、今回の世界弁護士大会について「当局が大会の開催を利用して、当局のイメージアップを図り、国際社会における影響力を増大する狙いだ」と批判した。
広州市弁護士協会は11月21日、市内の各弁護士事務所の責任者を集め、大会開催に関する当局の指示を伝達した。当局は、「11月21日~12月15日まで、香港問題についての不適切な意見を発表してはいけない。党の主張と食い違う意見を話してはいけない。弁護士は必ず党の方針に従わなければならない」などと要求したという。これらの指示に違反した弁護士に対して「処分を行う」と強調した。
中国当局は2006年、伝統気功グループ、法輪功学習者などを弁護した高智晟弁護士を拘束し、長年拷問、嫌がらせと監視を続けた。現在も、当局によって高弁護士は消息不明となっている。また、当局は2015年7月、人権弁護士や民主化活動家200人以上を一斉拘束した。王全璋弁護士や余文生弁護士などは「国家政権転覆罪」で、今も拘束されている。
余弁護士の妻、許艶さんは、大会の出席者に公開書簡を送った。許艶さんは、各国の出席者が中国当局に対して余弁護士の早期解放を求めるよう呼び掛けた。
(翻訳編集・張哲)