米国務省は11月4日、タイの首都バンコクで開催された第2回「インド太平洋ビジネスフォーラム」で、トランプ政権のインド太平洋戦略に関する報告書を公開した。報告書は、2017年11月「インド太平洋戦略」を提起した米政府が、その後の具体的な取り組みについて説明した。
報告書によると、トランプ米政権は、インド太平洋地域における中国共産党政権の影響力を封じ込めるため、同盟国や東南アジア諸国連合 (ASEAN)を含む価値観や理念の近い国の政府とのパートナー関係を深化させている。「2国間パートナーシップ」において、米政府は、日本の「自由で開かれたインド太平洋」戦略、台湾の「新南向政策」、インドの「東方政策」、オーストラリアの「インド太平洋構想」、韓国の「新南方政策」と緊密に提携している。
また、米政府は「台湾との外交関係を強化し、深化させている」という。トランプ政権は、台湾海峡における中国側の軍事演習、中国当局の台湾に対する経済的・政治的圧力などに強い懸念を示した。32ページに及ぶ報告書は、経済と統治に関する内容で、米台関係強化の必要性を主張した。
「デジタル経済」に関して、米政府はすべての国の政府に対して、「ハイテク技術の提供者は、外国政府に支配されている、またはその影響下にあるかを調査すべきだ」と提案した。
中国当局は10月下旬、ブロックチェーン技術への投資を拡大する方針を示した。当局の高官は公の場で、人民銀行(中央銀行)がデジタル通貨を発行する予定だと明らかにした。
さらに報告書は、中国当局が国内外で圧政を行っていると名指して非難した。「中国当局は、国内で反体制者を排除し、メディアと国民を監視し、少数民族の住民と宗教の信仰者を残酷に弾圧している。中国当局はこのやり方を政治的・経済的影響力を通して、他の国に輸出している。数十年来のインド太平洋地域の安定と繁栄を破壊した」
報告書によると、米政府は中国当局に対して、ウイグル人とチベット人への弾圧をやめるよう呼び掛けた。今年6月から続いている香港の抗議活動について、米政府は改めて中国に対して、1984年締結した「中英共同声明」を順守し、香港の高度な自治を維持するよう求めた。「われわれは香港およびインド太平洋地域全体における言論の自由と集会の自由が強く保障されるべきだと認識する」
米国とインド太平洋地域の各国の政治・経済界のリーダー約1000人が「インド太平洋ビジネスフォーラム」に出席した。同地域におけるハイレベルの投資、法治などの促進や民間企業が主導する経済発展について議論された。
同ファーラムと平行して、バンコクではASEAN首脳会議が2~4日の日程で開催された。
(翻訳編集・張哲)