香港の民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏と歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏らは17日、米議会の公聴会に出席し、与野党議員に対して「香港人権・民主主義法案」の早期可決を求めた。18日、ナンシー・ペロシ米下院議長と一部の議員は黄氏らと記者会見し、香港の抗議活動を支援した。
黄之鋒氏らの証言
米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)が行った公聴会で発言した黄氏は、香港の現状について「一国一制度に近い状況だ」とした。
同氏は、「6月から7月中旬まで、香港市民は逃亡犯条例改正案の撤回、抗議者の”暴徒”認定の取り消し、警察の実力行使に関する独立調査委員会の設置などを政府に要求してきた」とし、「7月21日がこの抗議活動の転換点となった」と指摘した。
「7月21日、暴力団の組員らは元朗地区の地下鉄駅で、記者や市民を襲撃した。市民が複数回通報しても、警官らはすぐに現場に駆けつけなかった」
黄氏はまた、中国当局による武力鎮圧の可能性を懸念した。「習近平政権が、共産党政権発足70周年にあたる10月1日前に、強硬な措置を取る可能性は低いと思うが、その後は何が起きるのかわからない。戦車が香港に入ってくる可能性を排除できない」と危惧した。
黄之鋒氏は、警察が使用する催涙弾やゴム弾などは欧米各国から輸入したものだと指摘した。米議会に対して、「米企業に香港警察に催涙弾などを提供しないよう働きかけてほしい」と述べた。
歌手の何氏は、議員らに対して、自身が2014年の大規模な民主化デモ「雨傘運動」に支持を示してから、中国当局の取り締まりの対象にされ、中国国内での芸能活動ができなくなったと話した。
6月から始まった抗議活動で、「多くの若者が警官から暴行を受ける場面が増えている。一部の負傷者は気を失うまで警官に殴打された」という。
何韻詩氏は、「外国の介入を要求しているわけではなく、香港の独立を訴えているわけでもない。普遍価値である人権と民主主義を求めているだけだ」と述べ、香港人権・民主主義法案の通過を要求した。
また、香港の大学・学術界国際事務代表団のスポークスマンを務める張崑陽氏も発言した。
張氏は、今回の抗議活動の核心は「香港の司法システムの独立を守ることにある」「行政長官を直接に選ぶ民主的な選挙を求めることだ」と述べた。
同氏によると、抗議活動に参加した多くの学生が拘束、尾行、殴打、どう喝された。「私たち代表団の1人のメンバーが拘束された際、女性抗議者が警官による性的暴行を受けたと聞かされた」
張氏は、学生らは家族からの大きな圧力を受けているが、「自由のためにこれからも抗議活動を続けていくと決心している」「一部の人は、香港のために命をささげることすら厭わない」と明かした。
CECCの共同議長で、香港人権・民主主義法案の提案者でもあるマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は、香港の自治は米国の国益にとって重要だと強調した。法案が可決すれば、中国当局による香港への介入に対して、米国がより強力な対応を取ることができるとした。
CECCの共同議長であるジム・マガバーン米下院議員(民主党)は、与野党議員は香港問題において意見が一致していると表明した。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、公聴会終了後の記者会見で、ルビオ議員は香港警察の暴力に懸念を示した。「明らかに中国当局の指示を受けている」と批判した。マガバーン議員は「香港の抗議者は絶えず平和的に訴えてきた。中国当局は抗議者を歪めようとしている」と指摘した。
ペロシ下院議長「完全に支持」
ナンシー・ペロシ米下院議長と一部の下院議員は18日、訪米中の黄之鋒氏と何韻詩氏を招き、香港人権・民主主義法案の通過に関して、記者会見を行った。
長年、中国の民主化運動や人権問題に注目してきたペロシ議長は、香港市民の勇気をたたえ、与野党の上下両院の議員は同法案に賛同し、可決に向けて団結していると強調した。
記者会見に同席したクリス・スミス下院議員(共和党)は、同法案が承認されると、制裁対象は香港政府の当局者だけにとどまらず、中国当局の高官や関係者も含まれると明言した。香港人権・民主主義法案は、香港の高度な自治と自由を損う者に制裁を科すと規定する。香港問題において、強硬措置を取ろうとする中国当局をけん制する狙いがある。
マイケル・マコール下院議員(共和党)は、香港のデモ活動は「民主主義と独裁者の戦いで、自由と暴政との抗争である」と述べた。「法案を通じて中国に、残忍かつ野蛮な行為に責任を負わなければならないと伝えたい」と批判した。
黄之鋒氏らは、米議員らの支援に対して、「香港は独りぼっちではない、自由世界の人々に支持されている」とそれぞれ感謝の意を述べた。
(翻訳編集・張哲)
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