中国政府とつながりのあるハッカー集団「APT10」が昨年、情報を窃取する目的で日米の企業や政府に対して大規模なサイバー攻撃を行った問題で、富士通やNTTデータなど世界のハイテク大手を含む8社が被害を受けていたことが明らかになった。ロイター通信が複数の関係筋の話として伝えた。
このAPT10によるサイバー攻撃は、「クラウドホッパー作戦」と名付けられ、知的財産や経済情報の窃盗を狙った。米検察当局は、作戦に関与した中国国家安全省と関係する中国人2人を起訴した。
米検察当局によると、2人は米ヒューレット・パッカード(HP)、富士通、NTTデータ、印タタ・コンサルタンシー・サービス、南ア・ディメンションデータ、米コンピュータ・サイエンス・コーポレーション、DXCテクノロジーなどハイテク技術企業8社に不正侵入した。これらの顧客企業数十社にも被害が及んでいるという。
2人はさらに、スウェーデンの通信大手エリクソンや米海軍造船会社ハンティントン・インガルス・インダストリーズを含む12社以上から、顧客情報や企業機密を盗んだ。ほかにも航空宇宙局(NASA)、航空・宇宙・衛星技術関連企業などからも情報を窃盗した疑いがある。
HPは、サイバー攻撃の影響を軽減し、顧客情報を保護する努力を行っていると同通信の取材に答えた。DXCは、自社と顧客を保護する強力なセキュリティ対策を講じていると発表している。富士通やIBMなどの企業はこの報道に対してコメントを控えた。
米国と中国は2015年、商業スパイ行為を禁止する協定に調印している。にもかかわらず、APT10を含む中国のハッキング組織からのサイバー攻撃は、継続的に発生している。
(編集・佐渡道世)