米国に亡命した中国の富豪・郭文貴氏はこのほど、自身のSNSで江沢民一族が海外で1兆ドルもの資産を有していると述べた。そのうち、5000万ドルはすでに洗浄された。
郭氏が4月13日にユーチューブで発表した動画によると、江沢民ら複数の共産党上層部は、上海実業集団、上海銀行、上海信託、平安、海通、万科、順豊、華為、太平洋保険などの大手企業の株を保有している。
郭氏によれば、江沢民の孫・江志成(33)氏の資産は5000億ドルにのぼり、江沢民家族は海外では少なくとも1兆ドル以上の資産を持つという。
また、一族は千以上の企業を支配しており、国有企業、金融機構、保険などの方法で、「海外で5000億ドルの資金を洗浄した」「その一部はすでに米の金融ファンド、大手ハイテク会社に投資された」と述べた。郭氏は、腐敗幹部が「全中国人の資産を奪った」と形容した。
郭氏の予想として、近く、西側諸国は江沢民一家に前例のない制裁を加えることになり、「国賊が海外へ移した資金が公式に明らかになる」と述べた。
江志成氏は江沢民の長男、上海科学技術大学の学長江綿恒の息子で、2010年9月、香港で博裕投資コンサルタントを設立した。わずか25歳だった。すぐにアジア大富豪の李嘉誠、 シンガポールの政府系投資機関であるテマセク・ホールディングスらの協力を得て、第1回目の資金調達で10億ドルを集めた。
ロイター通信2014年の報道によると、博裕投資コンサルタントは2011年、北京や上海の空港で免税店を展開する「日上免税行」の株式40%を約8000万ドルで取得することで合意した。
中国では、免税業界は国営企業に独占経営されていたが、1999年に当時の国家主席江沢民の指示により上海浦東国際空港に入る免税店の入札で外国企業の参入が許可された。そのとき落札に成功したのが江沢民と親しい米国在住の実業家江世乾だった。江世乾氏はその後、浦東国際空港と北京国際空港で免税店・日上免税行を展開し、年間売り上げは10数億ドルを超えるなど一気に業界ナンバー2に躍り出た。博裕投資の資産も3年で、投資額の3倍に当たる2.4億ドルの収益を得た。
また、博裕投資は2013年、電子商取引会社アリババ・グループ・ホールディングスと中国国有銀行の不良債権処理を目的で設立された中国信達資産管理の新規株式公開に関わり、注目を集めた。ロイターは江沢民が孫の投資事業に便宜を図った証拠はないとしているが、無名の会社がこうした大型案件に関わった前例はないと伝えた。
一方、江沢民の長男・江綿恒氏が1994年、「上海市経済信息化委員会」傘下の国有企業、投資コンサルタント会社「上海市聯合投資公司」のトップに就任し、中国電力通信業界の国営大手に次々と投資した。それにより、長男は業界の利権をほぼ独占でき「電信王」の異名を付けられた。
江綿恒氏は1999年、当時の最高指導者だった父親の江沢民の力を借り、大手通信会社「中国網絡通信集団有限公司(略称・中国網通)」を設立した。2008年、同社は国有大手「中国連合通信有限公司」と合併し、中国業界最大手となる中国聯通を掌握した。
(編集・佐渡道世)