中国国際航空(エアチャイナ)の元職員林英(リン・イン、女、48)被告は17日、ニューヨーク東部地区連邦地方裁判所で、在職中に中国政府の代理人を務めていた罪を認めた。林被告はニューヨークの空港で、国連駐在の中国軍関係者の荷物を検査をかいくぐって北京へ密輸したことを手伝った。
すでに米国籍を取得した林被告は2002〜15年秋まで、ニューヨークのJFケネディ空港で地上業務に従事していた。2015年秋〜16年4月まで、ニューアーク・リバティー国際空港でカウンター業務のマネジャーとして勤務していた。在勤中、同被告は秘密裏に中国軍関係者の手荷物を別の乗客の名前で検査したり、駐ニューヨーク中国総領事館の職員から小包を受け取ったりしていた。小包は、北京に密輸された。
米国運輸保安庁(TSA)は、航空機に搭乗していない人の手荷物の預かりを禁じている。米国検察は、林被告は、2010~16年まで数回にわたり、中国軍の任務を代行する「外国人代理人」としての行動を隠ぺいしていたと追及している。
地裁では18日、リン被告は裁判官の問いに対して、中国政府と軍の代理であることを隠ぺいしたとの罪を認めた。林被告は「私は中国高官と私の雇用者であるエアチャイナの指示に従った。このことを米国司法長官に通知しなかった」と述べた。
起訴状によると、中国当局は「報奨」として、林被告に「外交官向けの免税店で電子製品や携帯電話、酒などを購入する権利」「外交官しか享受できない特権」などを与えた。さらに、同被告の米での自宅が無料でリフォームされた。
林被告は2015年8月、米中金融機関の両替商取引の規制を避けて、巨額の現金を数回に分けて銀行口座に預けた疑いで逮捕・起訴された。のちに連邦捜査局(FBI)は家宅捜索を行い、3000件以上の証拠品を押収した。2016年に連邦大陪審に密輸や司法妨害、送金詐欺などの容疑で再び起訴された。
起訴状の中でも、2015年10月28日、林被告はFBIがスパイ容疑で調査中の秦飛容疑者を中国に逃亡させたとの容疑が特筆されている。
FBIが国連のジョン・アッシュ元議長に賄賂を渡したマカオ在住で大富豪の呉立勝(昨年、刑が確定)を調査した際、呉と行動をともにしていた秦容疑者は中国当局のスパイとの疑いを持たれていた。FBIが秦容疑者を調査しているとの情報を知った林被告は即座、秦容疑者に連絡し、北京行きの飛行機に同容疑者を搭乗させた。
さらに、秦容疑者のロングアイランドの高級住宅を代理人として管理していた。
ニューヨーク州東部地区の連邦検察官リチャード・ドノヒュー(Richard Donoghue)氏は、「被告は中国政府の代理人として行動し、米国の法執行機関による検閲を避けるのを手助けした。この事件は、米国にいながら、中国政府のために働くスパイ工員の深刻な脅威を示している」と述べた。
ジョン・ディマー(John C.Demers) 検事副総長は、「この事件は、中国共産党政権が米国で違法行為をするために中国の会社の従業員を利用していることの明白な例だ。米国の土地で、中国軍の動きを隠ぺいするのは犯罪行為だ。中国軍と林被告は民間企業を利用して、米政府の合法的な取り締まりを避けた」と述べた。
中国国際航空、従業員に「中国共産党政府に忠誠を」
米検察は、林被告が密輸を手伝った中国軍の小包の内容は明らかにしていない。しかし、起訴状によると、林被告は同様の密輸を拒否した中国航空の従業員に、中国軍関係者を補佐することも任務であると語ったことがあるという。「中国航空は中国の会社であり、第一優先して忠誠心は中国にあるべきだ」と同被告は述べたことがある。
裁判所は同被告に対して、最長10年の懲役刑を命じる見込み。同被告は米国籍だが、国籍取得申請の資料に偽りがあれば、市民権は取り消される可能性が高い。
最終判決は9月10日に下る。同被告の弁護士は、閉廷後の大紀元の取材に応じなかった。
(文・蔡溶/翻訳編集・佐渡道世)
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