中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が整備したパキスタンの監視システムに、Wi-Fi送信カードが設置されていたことが明らかになった。専門家は、遠隔操作による不正アクセスを警告した。Wi-Fi送信カードはすでに外されている。英BBCが8日報道した。
報道によると、パンジャーブ安全都市管理局(Punjab Safe Cities Authority、PSCA)は、ラホール安全都市プロジェクト(Lahore Safe City Project)のスタッフが2017年に同Wi-Fi送信カードを発見したという。パキスタン政府からの通知を受けて、ファーウェイは技術者を派遣し、カードを取り外した。
パキスタン政府は2016年、国内での爆弾テロの多発に対応して、ラホール安全都市プロジェクトを立ち上げた。同プロジェクトは、巨大な監視システムを有し、ラホール市の新たな緊急通報システムとなっている。ファーウェイはプロジェクトに入札し、1800の防犯カメラ・キャビネットを設置した。
プロジェクト関係者は、ファーウェイの入札申請書類には、Wi-Fi送信カードを示唆する文言はあったが、明確な言及はなかったと指摘している。
ファーウェイのスポークスマンは「誤解だ」と強調し、技術者がキャビネットを開けずに診断情報を取得できるためカードを設置したと説明した。
プロジェクトの関係者2人はBBCに対して、ファーウェイ側の主張を否定した。関係者の1人によると、ファーウェイはWi-Fi接続利用のためのアプリを提供したことはなく、キャビネットはすでに監視システムのメインネットワーク経由でリモート管理できるという。
英国を拠点とするサイバーセキュリティの専門家、サリー大学のアラン・ウッドワード教授は、機器販売者が後日、追加のサービスを提供するために追加装備を設置することは珍しいことではないと述べた。
しかし、パキスタン当局がカードの存在に気付かずにいると、潜在的なリスクを管理して必要な措置ができないため、監視にとって有利になると同教授は付け加えた。
教授は「Wi-Fi送信カードをシステムに入れると、他人に遠隔操作によるアクセスを許すことになる。他人に(サイバー)攻撃の方法を与えることでもある」と述べた。
(翻訳編集・張哲)
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