米国はさらに対中強硬姿勢を強めている。25日、米歴代の政権に影響を与えてきた外交政策組織「現在の危険に関する委員会(Committee on the Present Danger)」が設立した。20年ぶりに設置された危機委員会は、米国で浸透工作を行う中国共産党政権の戦略に対して、より強力な防衛、経済、経済措置を取らなければならないと提言する。
国防、政治、宗教の専門家や人権活動家らが参加する危機委員会委員は25日、ワシントンで集会を開き、連邦議会で同委員会の発足を発表した。また、中国共産党によるこの脅威をトランプ政権と国民が認識するよう促す演説を行った。
委員にはペンシルベニア大学の中国専門家アーサー・ウォルドロン教授、戦略的ミサイル防衛の専門家ヘンリー・クーパー氏、中国のクリスチャン活動家ボブ・フー氏、ほか前政権の情報高官、連邦議会議員、シンクタンクの研究員ら40人以上が加わった。
危機委員会は、米国が直面する危機に応じて設置され、この度は約40年ぶり4回目となる。1回目はトルーマン政権の1950年代に、2回目は「力を通じた平和戦略」を掲げるレーガン政権の1970年代に、それぞれソ連に関する危機委員会が設立された。2004年の3回目となる設立は反テロを目的としていた。
この度の委員会発表文書によれば、中国共産党は政治的、経済、軍事、科学、人権、イデオロギー、宗教、さらには中毒性のある薬物(フェンタニル)輸出など、枠にはまらない超限戦を展開している。この脅威を政府策定者と国民に認識させることを目的とする。
設立発表では、委員会は最初に、合意間近と言われている米中貿易交渉について警告を発した。「トランプ政権が交渉中の米中貿易協定は、米国の知的財産を盗むという中国共産党の長年の慣行に対応することが期待されている。知財は経済と国家安全保障の生命線だ」「しかし、この(知財窃盗という)慣習が止むという約束はまだ見られない」
超党派の米国戦略グループのブライアン・ケネディ委員長は、共産党支配の中国による脅威について、米国民や政策立案者に教示し、情報提供していくと述べた。副委員長のフランク・ガフニー氏は、共産主義の脅威に言及する。「われわれは、最終的に共産主義体制の性格から生じるこれらの問題に対処しなければならない。共産党体制をとる中国では、残酷な全体主義に支配されている」
クリントン政権の中央情報局長だったウールジー委員は、中国は古代中国の戦略家・孫子の理論に基づいて、大きな紛争を発生させることなく、米国を敗北させようとしていると述べた。
ブッシュ大統領政権の防衛情報官だったボイキン委員は、通信機器大手・華為科技(ファーウェイ、HUAWEI)による5G通信技術の拡大に注目し「中国によるインターネットの占拠を見逃してはいけない」と警鐘を鳴らした。
ボイキン氏によると、米国に対する中国共産党の戦略は、人民解放軍が1999年に発表した書籍・超限戦で概説されている。戦争に勝つためには、あらゆる手段、軍事、外交、経済、金融、さらにはテロも辞さないとする理論だ。また、超限戦に基づいて、現在は中国共産党が米国を全面的に実行支配するための過程にあるとした。
さらにボイキン氏は、米国の国防総省や大学、ハイテク企業は中国政府の代理人により何らかの浸透工作を受けていると述べた。たとえば中国から派遣された研究員は、米国の技術を入手することに注力している。
米国を弱体化させようとする中国の行動は「非常に洗練されている」と、国防総省の核政策立案者だったマーク・シュナイダー委員は述べた。中国の核兵器は新型ミサイル、爆撃機、潜水艦など急速に最新化していると述べた。
シュナイダー委員によれば、中国の核兵器は「地下の万里の長城」と呼ばれる長さ36000キロのトンネル複合施設に建設され、保管されている。実際の兵器庫内の弾頭数はわかっていない。
元民主党議員で現ハドソン研究所研究員であるリャンチャオ・ハン委員は、中国共産党政権は米国に深刻な脅威をもたらしているが、多くの米国人は気付いていないとした。
「だからこそ彼ら(中国共産党)が何をしているのか、何をしようとしているのか、なぜそれほど危険なのかを、アメリカの国民や政策決定者に知らせたり、教示することが私たちの義務だ」とハン委員は述べた。
大紀元の取材に応じたハン委員は、「中国共産党はすでに冷戦を始めている。号砲などはない。すでに(冷戦は)始まっており、アメリカ社会に工作は浸透している。米国は立ち上がって戦わなければならない」と述べた。
冷戦時代の元海軍パイロットであり1970年代版の対ソ連危機委員会の委員でもあったチェト・ネーゲル委員は、中国共産党について「この実際的な脅威は、最終的に、全世界を支配する野心的な計画の一つだ」と述べた。
ネーゲル委員は「過去のソビエト連邦と同様に、共産主義の中国は、米国と自由主義に対立するイデオロギーの脅威がある」とした。
(翻訳編集・佐渡道世)
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