中国当局は、全国民を監視し格付けする「社会信用システム」のほかに、現在4億6000万人の若者を対象にしたスマートフォン向け信用格付アプリを公開した。専門家は、中国当局がハイテク技術を駆使し、国民への監視を一段と強化することは、当局の政権崩壊に対する強い警戒感の表れであるとの見方を示した。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト25日付によれば、中国名門大学、清華大学傘下の国有半導体メーカー、清華紫光集団が、信用格付アプリ「優你通(unictown)」を開発した。中国共産党の下部青年組織、中国共産主義青年団(共青団)中央委員会と中国国家発展改革委員会が共同で、アプリの開発を主導した。
このアプリは、中国全土で18~45歳までの国民を対象とする。利用者の個人情報、ボランティア活動、信用記録、ソーシャル・コネクション、消費、契約の履行実績の6つの分野においてさまざまなデータを収集し分析する。分析を経て、利用者に最低350ポイントから最高800ポイントのスコアを与えて格付けする。信用スコアの高い利用者は、ネット通販の割引を利用したり、就職活動時の優遇措置を受けたりすることができる。
アプリは2月に公開された。利用者はスマホで無料でダウンロードできる。
報道によると、同アプリの開発者は、どのような方法で信用スコアを計算するかについては明らかにしなかった。また、開発者は、共産党員や共青団の団員であるかを含む情報をアプリに入れていないとした。信用スコアは利用者の就職、住宅購入や融資などに影響を与えるだけでなく、将来の海外留学、旅行、結婚まで影響を及ぼすという。
米ニューヨーク大学訪問学者で、中国人権弁護士の滕彪氏は大紀元に対して、「中国当局がハイテク技術を通じて、国民の日常生活を細かく記録し監視している。人類史上初めてのことだ」と非難した。
滕氏は中国当局が監視を強めた背景には、「国内中国共産党政権への反発が高まり、中国当局が統治の危機に陥っていることにある」「このため、中国当局が国内の人権弁護士、宗教団体、ウイグル人住民、チベット人住民などへの締め付けをますます強めている」と指摘した。
在米中国経済学者の夏業良氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、若者向け信用格付アプリは「中国当局が大学生を支配する新たな手段だ」との分析を示した。当局は、1989年大学生や市民らによる大規模な民主化運動、「六四天安門事件」が再び起きないよう、同アプリを通じて、「大学生が思うままに議論したり、行動したりしないように制限する」との見解を示した。
(翻訳編集・張哲)
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