胡潤世界富豪番付、中国人富豪の保有資産が縮小傾向

2019/02/28
更新: 2019/02/28

中国民間調査機関、胡潤研究院は26日、「2019年胡潤世界富豪ランキング」を発表した。中国経済失速によって、トップ20から中国人富豪の姿が消えた。

発表によると、中国電子商取引最大手、アリババ集団の馬雲(ジャック・マー)会長と家族は、保有資産額2600億元(約4兆3160億円)でランキングの22位になった。中華圏では1位だった。

インターネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の馬化騰・会長は、資産2550億元(約4兆2330億円)で、世界富豪ランキングの24位。馬雲氏に続き、中華圏の2位となった。テンセントは昨年、中国当局のスマートフォン向けゲームの規制強化で、同社株価が急落し、馬化騰氏の個人資産が400億元(約6640億円)減少した。

中国不動産大手、恒大集団の許家印・会長は資産額2500億元(約4兆1500億円)で、世界富豪ランキング26位となった。

いっぽう、中国不動産業を営む他の富豪の順位は昨年から下がった。

不動産大手、碧桂園控股の楊恵妍共同会長は中華圏の6位となった。中華圏の富豪トップ10にランクインした唯一の女性だ。楊氏の個人資産は昨年と比べて28%減少したため、世界富豪ランキングでは昨年の26位から35位に転落した。

大連万達集団(ワンダ・グループ)の王健林・会長一族の保有資産は1150億元(約1兆9090億円)で、中華圏の9位、世界ランキングの57位となった。昨年の世界ランキングでは、36位だった。王会長一族の資産規模は昨年と比べて、550億元(約9130億円)減少したという。

家電大手、美的集団創業者の何享健氏と息子の何剣鋒氏の保有資産も、昨年比で550億元減の1300億元(約2兆1580億円)となった。

昨年は、810人の中国人富豪が胡潤研究院の世界富豪ランキングに入っていた。今年は594人にとどまった。トップ20の中に、中国の出身者はいない。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)27日付によると、中国経済学者の福特氏は、2019年胡潤世界富豪ランキングに入った中国人大富豪の資産が大幅に減少したことは、中国経済の冷え込みと失速を反映していると指摘した。

福特氏は、中国人富豪の保有資産の減少は、実際より深刻である可能性が高いとの見方を示した。「中国国内の調査機関である胡潤研究院は、中国当局からお墨付きをもらって、ランキングを発表しただろう。中国人大富豪の資産縮小は、中国経済の構造転換がうまくいかなかったことを浮き彫りにした」経済の構造転換が成功していれば、民営企業は「より活発な経済活動をしているはずだ」

昨年米中通商摩擦が激化するにつれ、中国株価と人民元の相場が下落し、中国経済指標も悪化傾向にあった。

「2019年胡潤世界富豪ランキング」は、67カ国の個人資産10億ドル(今年1月31日時点)以上の富豪2470人を対象にした番付だ。昨年、個人資産が10億ドル(約1109億円)以上の富豪は全世界で2694人いた。

(翻訳編集・張哲)