パプアニューギニアで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は18日、首脳宣言の一部の文言に中国代表団が反対したため、首脳宣言を採択しないまま閉幕した。APECに出席した米政府関係者を取材した米ジャーナリストはこのほど、中国当局者がAPECの様々な場面で横柄な態度を取ったと暴露し、その傍若無人な言動が「駄々っ子外交(tantrum diplomacy)」だと批判した。
米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、ジョッシュ・ロジン(Josh Rogin)氏は20日の評論記事で、APEC首脳宣言の採択に対する妨害は、中国当局者が行ってきた数多くの「駄々っ子外交」の一つだとした。
APECの開幕から閉幕まで、中国代表団は高圧的な態度を見せたり、常軌を逸する行動をしたりしていたという。その目的は、APEC会議の参加者を屈服させるためだと同氏は述べた。「まるで自分の領土にいたかのように、高圧的な態度で全てを意のままに動かそうとしていた」
街に五星旗を掲揚、「一帯一路」を宣伝
同記事によると、APEC開催期間中、中国当局が影響力を誇示するため、パプアニューギニア首都ポートモレスビーの街は中国の国旗(五星旗)で溢れていた。同国政府が中国に対して、APEC開幕前までに中国の国旗を撤去するよう求めた。中国側は撤去したが、その代わりに紅い旗を設置した。
また、ポートモレスビーの主要幹線道路で、中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」を宣伝する巨大看板が設けられた。
各国メディアの取材活動を禁止
中国当局関係者は、APEC開催中に各国メディアに対して、中国と太平洋地域各国との首脳会談の取材を禁止した。取材を許されたのは中国政府系メディアだけだった。米政府関係者は中国側が意図的に禁止したとし、「(海外メディアの)記者たちが中国当局の横暴ぶりを報道する可能性があるからだ」との見解を示した。
米副大統領の講演の妨害疑惑
17日ペンス米副大統領と習近平国家主席は、ポートモレスビーの港に停泊している大型グルーズ船の上で講演を行った。各国のメディア関係者は国際メディアセンターに集まり、ネットワークを通じて、講演の中継を見ていた。
しかし、ペンス副大統領の演説が開始して5分後に、メディアセンターのネットワークシステムに障害が発生し、記者らは副大統領の発言を聞き取れなくなった。しかし、副大統領の演説が終わった後、奇妙なことにネットワークは「正常に戻った」という。米政府高官は、この出来事を「現在調査中」とした。
議長国の外相執務室に乱入
APECに出席した他国政府関係者を最も驚かせたのは、中国代表団メンバーが、パプアニューギニアのリムピング・パト外相の執務室に強引に入ろうとしたことだ。中国当局者が、首脳宣言の文言に異議を唱え、それを変更させようとパト外相に面会を求めた。しかし、許可されなかったため、中国側関係者は外相の執務室に踏み込もうとした。通報を受けて駆け付けた警察官が、中国関係者らを追い払ったという。
米政府関係者の話によると、APECの関連会議中、各国から批判されていると勘違いした中国当局者らは大声を出して反発していた。
首脳宣言採択の見送りに拍手
中国当局を除いた20カ国・地域の首脳がすべて、APECの首脳宣言の内容に賛同した。しかし、それに反対した中国当局者が会議中、長々と発言していたため、首脳宣言の採択は断念された。採択の見送りが決まると、主会場の近くにある控室から、中国代表団の拍手が聞こえたという。
ロジン氏は、中国代表団の言動から3つの結論を付けることができるとの見方を示した。1つ目は、中国高官らがますます「厚かましくて恥を恥とも思わなくなった」。2つ目は、過剰に反応を示した中国共産党政権は明らかに、米国とその同盟国からの圧力を強く感じている。3つ目は、中国共産党政権がその言動によって、国際社会からさらに孤立化していくだろう。
(翻訳編集・張哲)