ロシアで近年、ビニールハウスで野菜を栽培する中国人農家が増えている。しかし、禁止されている農薬の使用や化学肥料の大量投与で現地住民の反発を招き、ハウスの閉鎖・撤去が相次いだ。
米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は13日、ロシア新聞社の報道を引用し、ロシア南部のダゲスタノ地区のナリマン村で4日、住民代表約150人と村長が出席した会議が開かれ、中国人農家のビニールハウスをめぐって審議を行った。会議でハウスの撤去が決定された。会議後、住民らはビニールハウスの前で抗議デモを行い、さらに撤去を求める嘆願書を上級機関に提出した。
中国人オーナーはこの決定を受け入れたという。
地元住民によると、中国の野菜栽培農家が有害な農薬を多く使用しているため、3〜5年後には耕作できなくなる恐れがある。また、野菜の残留農薬は人の健康にも悪影響を及ぼしている。一方、こうした安価な野菜との競争に勝てない多くのロシア農家は経営不振に陥ってしまう。
ある現地住民はメディアに対して、「トマトは収穫するまで通常、70〜90日かかるが、中国人のトマトは30〜40日しかかかっていない。化学肥料漬けだ」と述べ、「子どもの健康に及ぼす影響を心配している」と話した。
中国人農家は当初、村の体育館の改修工事に投資することで村当局の支持を取り付けた。しかし、それでも住民の態度を変えることができなかった。
旧ソ連時代の集団農場の崩壊および農村人口の減少によって、ロシアは世界で最も多くの耕作放棄地を有する。近年、極東やシベリアを中心とするロシア各地で、農業を営む中国人が増加している。市場に出回るトマト、キュウリはほとんど中国人が栽培したもの。ロシア政府は中国人農家の所得税を免除する優遇策を打ち出している。
劇毒の除草剤
一方、利益を追求するために、中国人農家は基準値以上の化学肥料や農薬を使用し、問題となっている。
6月26日付RFAによると、ロシアのハバロフスク・クリィのいくつかの村の住民たちが、住宅近くの樹木や自家栽培の野菜と果物が黄色から白に変色し、最後は株全体が枯死してしまう現象が続いていることに気づいた。
ロシアの専門家は現地調査を行った後、土地を借りた近隣の中国人の農場でロシアで禁止された中国製の除草剤を使用していたことが原因だと指摘した。
2013年、17人の中国人農家が使用禁止の殺虫剤、農薬、成長促進剤などを投与したとしてロシア当局に逮捕された。農薬の使用に関する専門知識がなかったという。
(翻訳編集・王君宜)
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