韓国済州島で開催予定のキリスト教行事に参加しようとした100人以上のクリスチャンは、中国各地の空港で足止めされた。ラジオ・フリー・アジア(RFA)が10月31日に報じた。
公安当局は上海、北京、広州の空港から出国しようとしたクリスチャンたちを「国家の安全を損なう恐れがある」として渡航を禁じた。中国信者の参加を支援したという匿名の牧師はRFAに対して、空港から離れたのち、多くの信者は公安当局に拘束されたと明かした。
中国国内では、共産党が公認しない宗教団体は活動を厳しく制限されている。近年クリスチャンへの弾圧は悪化しており、信者の多い浙江省、江西省、湖南省では相次いで、十字架の強制取り壊しや聖書の焼却、教会の解散が強要されている。
済州島では、米国拠点のバプテスト教会がカンファレンス(集会)を開く予定。主催団体は、中国共産党が公式に認めない教会の信者100人以上を招待していた。
RFAの取材に応じた牧師によると、信者たちは購入したチケットを所持し済州島行きのフライトに搭乗しようとしたが、公安当局に拒まれたという。香港の空港でも、信者は警察当局に制止されたと述べた。
無神論を掲げる中国共産党は、党以外に精神的な指導を行う一切の思想・個人・組織を容認しない。近年、個人宅などに設置された教会で集会を行うクリスチャンの「地下教会」を対象に、全国的な弾圧をエスカレートさせている。
中国政府は2月、改正宗教事務条例を施行した。以後、すべてのインターネット商取引サイトで聖書の販売、出版物やネット広報、教会運営のための銀行口座開設、海外のキリスト教会との連携など、あらゆる面で宗教活動を規制している。
9月、中国全国各地の地下教会牧師や長老300人以上が実名で、当局による弾圧を批判する文章をインターネットで発表した。「この横暴ぶりは、文化大革命以来」と牧師たちは揶揄した。
国際人権監視NGO、フリーダム・ハウスの中国の宗教統制に関する報告書『中国精神のための戦い』によると、国内のプロテスタントは6000~8000万人、カトリックは1200万人で、非公認の地下教会信者はそれぞれの半数を占めると推計されている。
RFAに応えた関係者によると、数年前まで、中国信者が海外のキリスト教行事に参加することは可能だったという。このたび、韓国渡航を断念せざるを得なくなった中国地下教会の牧師は、「政府の規制はとても厳しい。私たちは国際社会から手が差し伸べられることを願っている」と語った。
(翻訳編集・佐渡道世)