中国河北省にある米ホテルチェーン大手、マリオット・インターナショナル(以下、マリオット)傘下のホテルでこのほど、気功集団・法輪功愛好者をターゲットとする臓器狩りを告発する書籍が陳列されていたことが報じられた。中国当局は先週、マリオットが顧客向けのアンケート調査で、チベット・台湾などを「国」扱いしたとして処分を行ったばかり。ブルームバーグが16日伝えた。
同報道によると14日、河北省張家口市にあるエレメント崇礼ホテルのラウンジの本棚に 『Bloody Harvest: the Killing of Falun Gong for Their Organs(邦訳:戦慄の臓器狩り)」数冊が、他の英語雑誌と一緒に並べられていたという。このスキーリゾートホテルは、北京から車で3時間の距離に位置し、2022年の北京冬季オリンピックのために建てられた。
同ホテルはインテリアの一部として、書籍を購入することがあるという。現時点では、『戦慄の臓器狩り』がラウンジ内に並べられた経緯は不明。
法輪功愛好者を対象とする臓器狩りの実態を記述した『戦慄の臓器狩り』は2009年に出版された。著者は、カナダ元政府高官のデービット・キルガー氏と人権弁護士のデービット・マタス氏。両氏は同著書で、当局の政府機関と一部の病院が結託し、法輪功愛好者から臓器を強制摘出した後、高値で国内外の患者に移植し、暴利を貪っていると告発した。
米国政府は過去、法輪功愛好者が当局から受けた迫害の証拠として、この本の内容を採用したことがある。
法輪功は、李洪志氏が1992年中国吉林省で初めて公にした佛家修煉法。中国当局が1999年前に行った調査によると、当時国内の愛好者が7000万人から1億人に達したという。しかし、愛好者の人数が共産党員を上回ったことで、江沢民・元総書記が共産党政権を揺るがす不安要因として、1999年に法輪功への鎮圧を始めた。
それ以降、中国国内の愛好者が、当局から洗脳教育、労働改造、拷問、虐殺などの迫害を受けているという報告が相次いだ。2006年、米国に亡命した中国人女性アニーさんは医師の元夫が臓器狩りに関わっていたと告発し、事件は初めて明るみに出た。
一方、ブルームバーグによると、エレメント崇礼ホテルはすでに『戦慄の臓器狩り』を撤去し、公安当局に報告した。
中国当局は近年、外資企業への思想統制を強めている。当局はネット検閲強化を図る「インターネット安全法」を実施したほかに、外資企業に対して共産党支部の設立を要求している。
(翻訳編集・張哲)
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