訪朝の中国特使が帰国、米 北朝鮮を「テロ支援国家」を再指定

2017/11/21
更新: 2017/11/21

中国習近平国家主席の特使として、北朝鮮を訪問していた宋濤・共産党中央対外連絡部長は20日夕方、4日間の訪問日程を終えて帰国した。宋部長が訪朝中、海外メディアに注目されていた、金正恩・朝鮮労働党委員長との会談は行われていないとみられる。一方、米トランプ政権は現地時間20日、北朝鮮を「テロ支援国家」に再指定した。専門家は、訪朝した中国特使が北朝鮮から核開発中止の約束を取り付けることができなかった可能性が高いため、米政府が同決定に踏み切ったと分析する。

中国と北朝鮮の国営メディアの報道によると、宋部長は訪朝中、金正恩氏の側近の崔竜海党副委員長や外交担当の李洙墉党副委員長とそれぞれ会談した。宋氏は北朝鮮指導部に対して、10月下旬に行われた中国党大会の結果を報告し、「朝鮮半島問題」などの話題について議論を交わしたという。

しかし、金正恩氏本人が宋濤氏と会談したとの報道は両国のメディアから出ていない。

2007年と12年の中国党大会終了後に訪朝した中国の高官らは、故金正日総書記と、金正恩氏に面会した。中国の特使が北朝鮮の最高指導者と面会するのは慣例だった。

米中国語時事情報サイト「縦覧中国」の陳奎徳・編集長は、中国語テレビ放送局「新唐人」に対して、「金正恩氏と中国の特使が面会していないということは、おそらく金正恩氏は核・ミサイル開発計画を継続していくだろう」との見方を示した。

今月初め訪中したトランプ米大統領は習近平国家主席と「朝鮮半島の非核化」で意見が一致した。陳編集長は、「宋濤氏が訪朝中、中国側のこの姿勢を金正恩氏らに伝えたはずだ。同時に宋氏は、『北朝鮮が核開発を続けていくなら、これからすべての責任は北朝鮮側が負うべきだ』との習近平氏からの警告も伝えた可能性が高い」と推測。

一方、中国特使の訪朝を見守った米トランプ政権は、北朝鮮が核開発を続けていくと認識し、宋濤氏が帰国した日に北朝鮮を9年ぶりに「テロ支援国家」に再指定した。トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対して、「最大限の圧力をかけていく」と述べた。

陳編集長は、米政府の決定は「非常に重要な一歩だ」と評価した。「『テロ支援国家』の再指定に伴い、北朝鮮向けの全面輸出禁止などの措置が実施されるだろう。北朝鮮経済を完全に封じ込めば、核・ミサイル開発と製造に大きな打撃を与えられる」

また、在米中国政治評論家の陳破空氏は、「習近平氏が特使を派遣したことは、北朝鮮に対する『先礼後兵』(はじめは礼を尽くすが、上手くいかなければ武力を行使する)で、礼を尽くそうとしている。トランプ氏は、その様子や北朝鮮の対応を見ていた。しかし、結果的に北朝鮮は、習近平氏からのメッセージを受け取っても核開発を放棄しないようだ。これで米側が、今後経済制裁を一段と強化していくしかないと判断しただろう」と分析した。

陳破空氏は、米国の対北朝鮮の武力行使の可能性について、「ロシアなどの協力が必要だ。でなければ米は軍事攻撃に踏み切れないだろう」との見方を示した。

米トランプ政権は今回の決定で、中国の習近平政権に対して、引き続き北朝鮮への圧力を強化していくよう促す狙いもある、と「新唐人」時事評論員の唐浩は指摘。

(翻訳編集・張哲)