一部で報じられたトランプ米大統領の長女イヴァンカ氏夫妻の訪中計画は、白紙になった。米国側からキャンセルしたという。イヴァンカ夫妻を取り込むことで大統領に影響を及ぼそうとする中国政府の思惑は外れた。
米紙ニューヨークタイムズは、夫妻は中国政府の招待を断ったと報じた。英紙ガーディアンはホワイトハウス関係者の話として「そもそも(公式訪問の)予定はない、中止にはあたらない」と伝えた。
一部の欧米メディアは、トランプ氏は今年11月、中国共産党の5年に一度の最重要会議・第19回全国代表大会の閉幕後に中国を訪問すると伝えている。長女夫妻の訪問中止により、トランプ氏の年内訪中も不確定さが増した。
中国外務省の報道官は7日の定例記者会見で、訪問の有無を質問した記者に対し、「中米両国は各方面で緻密なコミュニケーションと連携をとっている」と言葉を濁した。
トランプ大統領に大きな影響力を持つ2人を招き入れるため、中国政府は総力を投じていたと報じられた。産経新聞8月31日付によると、中国外務省は「イバンカ夫妻の訪中プロジェクトチーム」を立ち上げ、党大会前にトランプ米大統領の娘、イバンカ夫妻の訪中実現に向けて動いていた。さらに、これは党中央弁公庁から中国外務省への指示だという。
同記事によると、イバンカ夫妻は中国語を勉強している6歳の長女、アラベラちゃんを同行させる計画だった。習近平国家主席と彭麗媛夫人は一家を北京の政治中枢、中南海にある国家主席の執務室に招待。アラベラちゃんがそこで中国語の童謡を披露し、その様子はテレビを通じて、全国に中継するとの計画が検討されていたという。
政治専門家は、中国の狙いは米中関係の良好さをアピールし、トランプ大統領の対中政策を緩和させるためだと指摘する。
ガーディアンは「イヴァンカ氏の訪中取り消しは、米中関係に影響ないと中国側は強調」と報じた。米中関係専門で上海復旦大学の沈丁立教授は「大統領の娘を利用して両国関係の改善を図る国はない」と、イヴァンカ氏の訪中に否定的な意見を示した。
イヴァンカ氏は中国で人気だ。中国メディアは「優雅で上品」と賛辞を惜しまない。アラベラちゃんが中国語の歌を披露した映像は、中国のインターネットで数千万回のアクセスを記録した。イヴァンカ氏が今年2月1日、娘とともにワシントンの中国大使館で開かれた旧正月を祝うイベントに出席した際、中国メディアは、娘のアラベラちゃんが赤い服を着ていたことについて「時節にあった装い」などと好意的に報じた。
(翻訳編集・叶清)
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