国際通貨基金(IMF)は15日、中国経済に関する最新年次審査報告を発表した。IMFは、中国経済が過度な銀行借入に依存した結果、公的部門と民間の債務規模が危険レベルに達し、新たな金融危機を引き起こす恐れがあると警告した。
同報告では、中国の今年の経済成長率見通しについて当初の6.2%から6.7%に、また18~20年の年平均成長率を6%から6.4%とそれぞれ引き上げたが、「持続可能な成長のために債務を整理すべきだ」と指摘した。
IMFは、中国当局が成長達成に力を入れている一方で、債務削減への取り組みに関して進展がなかったとの見方を示した。
2016年、中国の家計や企業など非金融部門の債務の対GDP(国内総生産)比率が235%だった。2022年までにその比率が約300%に達するとIMFは予測した。「世界各国の経験をみると、中国の債務の膨張ペースが危険で、金融的混乱を伴う調整または著しい経済鈍化、あるいはその両方を招くリスクが拡大しつつある」と警鐘を鳴らした。
また、IMFは過去10年間、中国の銀行借入効率が悪化していると指摘した。「2008年、中国GDPが5兆元(約80兆円)増えるのに6.5兆元(約104兆円)の新規借入が必要だった。しかし、16年には同じく5兆元を増やすには20兆元(約320兆円)の新規借入がかかる」という。
同報告では、中国当局が過度な信用に依存しなければ、12年~16年の年平均成長率は実際5.5%で、当局公表の7.25%ではないとした。
IMFは、中国当局に対して持続可能な成長モデルに移すために、国有企業改革などを加速させるべきだと呼び掛けた。
一方、米紙・ニューヨークタイムズは、世界各国の経済学者や投資家は中国の債務規模よりも、債務増加ペースの速さを最も危惧すると報じた。
英市場調査会社、キャピタル・エコノミクスが今年6月に公表したリサーチでは、記録開始以降、中国債務の「増加ペースは、他の主要経済体のどの国よりも速い」とし、蓄積された債務規模は「新興アジア市場にとって最大なリスクとなっている」との認識を示した。
IMFも同様に、今回の年次審査報告において「中国の非金融部門債務が過去5年間で倍となった」とした。
(翻訳編集・張哲)
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