米トランプ政権と中国当局の初となる「米中包括経済対話」は現地時間19日、ワシントンで開催された。ロイター通信によると、米国が求める対中貿易赤字の削減や、鉄鋼の過剰生産、中国の金融市場開放などの問題で新たな合意はできず、終了後に予定された記者会見は中止された。双方の見解は平行線のままで協議を終えたもよう。
同対話には、中国の汪洋・副総理らが、米国側からはウィルバー・ロス商務長官とスティーブン・ムニューシン財務長官が出席した。
トランプ政権、より公平・平等の互恵貿易を望む
米メディアによると、ロス商務長官は対談中、昨年中国対米貿易黒字が3470億ドル(約38兆8640億円)と依然と高い水準にあることを批判し、米中関係は「より公平、かつ平等で、互恵的」になる必要があるとの考えを示した。さらに、今後米国製品の中国向け輸出を拡大する方針を示した。
ムニューシン財務長官は市場開放のほかに、中国にある米国企業を公平に扱うよう、中国側に要求した。長官はまた、中国当局の市場に対する過剰干渉は経済の不均衡を招いただけではなく、米国の雇用と輸出にも影響を与えたと指摘した。
ムニューシン長官はロス長官と同様に、両国がより互恵的で均衡的な経済関係を築ければ、世界経済の成長に貢献できると強調した。
中国汪洋副総理「すべての対立を解決できない」
米側の要求に対して、汪洋副総理は米中が経済・貿易での連携が重要だが、「対話で直ちにすべての対立を解消できない」と主張した。汪副総理は、米中貿易戦争が双方の利益を損なうと述べ、米国をけん制した。
英BBC放送によると、18日に米国入りした汪副総理は中国市場が開放的ではないことや、外資企業に対する規制緩和、知的財産権問題などの分野に問題があると認めたものの、米政府が先進技術製品の中国への輸出を制限していると批判した。
米中双方、記者会見を中止
19日対話終了後に記者会見が予定されていたが、対話開始直後に中止と発表された。理由について両国とも明かしていない。
ロイター通信によると、中国との貿易事情に詳しい専門家はこの日の対話で、鉄鋼やハイテク製品などを巡る摩擦などの大きな問題について解決策は得られないものの、小さな規模での何らかの合意は得られるとの見方を示していた。
双方は経済・貿易での溝を埋められなかったとみられる。
トランプ政権、中国鉄鋼製品に関税措置
トランプ大統領は19日、ホワイトハウスで記者団に対して、鉄鋼製品に高関税をかけることについて「ありえる」と話した、と報じられている。
米投資家は、米中間協議で貿易の障壁を撤廃するなど新たな動きがなかったとみて、今後トランプ政権は中国の鉄鋼製品に高い関税措置を実施し、または輸入量を制限していく可能性が高いと推測する。このため、米国株式市場では、USスチールなどの鉄鋼企業の株価が上昇した。
一方、米側は中国当局に対して、ミサイルによる挑発行為を続ける北朝鮮に圧力を強めるよう要請したかどうかは不明だ。
(翻訳編集・張哲)
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