ロンドンで1980年代に、10ポンド(現在の為替レートで約1450円)のがらくたとして蚤の市で購入された指輪が、本物のダイヤモンドであることが鑑定で明らかになり、6月7日のサザビーズロンドンオークションにて656,750ポンド(約9,360万円)で落札された。
指輪は、19世紀に加工された貴重品と見られている。クッション型(ラウンドとスクエアの混ざった形)にカットされた26カラットのダイヤモンドがあしらわれていて、購入した際に女性は、「並外れて大きい」こともあり、石はずっと模造品だと思い込んでいた。
所有者は購入から30年ほど経って、価値を調べるために女性はオークション運営大手サザビーズに持ち込んだ。その後、米国宝石学会(GIA)が鑑定したところ、26カラットのダイヤモンドだということが判明した。
この指輪が作られた19世紀は、カット技術は原石の重量を減らさないことが優先されていたため、輝きが比較的鈍いのが特徴だという。
サザビーズ(ロンドン)の宝飾品部門を統括するジェシカ・ウィンダムは、「アンティークなクッション型にする旧式のカットでは、現代のカット方法ほど光が強く反射しない。当時の職人は、最大限に輝かせるよりも、大きさをできるだけ維持しようと、結晶の自然な形を生かしてカットしていた。輝きが鈍かったため本物の石ではないと信じ込ませていたのでは。すごい掘り出し物だ」と話した。
(編集・甲斐 天海)