香港で3月28日、出版社・香港五七学社が主催する「反右派闘争60周年国際研究討論会」が開催された。「右派」のレッテルを貼られ中国共産党による迫害を受けた50人以上の関係者が、中国大陸や海外から香港に集まった。
反右派闘争とは、毛沢東による有識者たちへの弾圧政策を指す。参加者は、中共の邪悪さは「打つ手なし」の域に達しているとの認識を示した。主催側によると、数十人の大陸在住者は中国当局からの妨害で、出席できなかったという。
83歳の参加者、趙日月さんは当時、北京政法学院(現、中国政法大学)の学生だった。共産党に対し提案したことで、当局から「組織して党を攻撃した」とみなされた。その後、趙さんは学籍を抹消され、20年もの教育改造(非刑事罰の行政処分で、数年間の労働と政治教育が科せられること)送りとなった。
趙さんは「共産党政権は当時の失策を全く悔いておらず、非を認めようとしない。手の施しようがない」と憤りを隠さなかった。
北京から参加した81歳の任衆さんは、60年前に北京市公安局で働いていたが、党の政策を批判したことで「極右分子」とみなされ、農場での労働改造として20年に渡る迫害を受けた。
87歳の「老右派」、岑超南さんは香港人で、若いころは香港で店員として働いていたが、53年に北京大学物理学科に入学した。だが57年に壁新聞を貼りだしたことで右派と指摘され、工場での労働改造に送られた。78年に香港へ戻ることが許された。
岑さんは、「毛沢東による反右派闘争で、あの時代のエリート知識人のほとんどが失われ、その後の中国の知識階級が批判精神のない党の道具と化してしまった。何と恐ろしいことだろうか」と当時を振り返った。
岑さんは共産党による被害と歴史を伝えるため、6000人に上る中国大陸の「良心の囚人」の情報を、独自のサイト「中国警世新聞」で公開し、国内や海外の希望者に向けて発送している。
上海から参加した81歳の「老右派」、徐紹華さんは香港人に対し「中国共産党が民主主義を受け入れるなどと期待してはならない」と警告。「私の経験から、人権とか民主主義は共産党政権の眼中にない。世界の普遍的な価値観は受け入れられないのだ。幻想を抱いてはならない」
中国の右派たちが香港で研究討論会を行うのと同時に、中国の「最大な右派」と言われた政治家・章伯鈞氏の娘で、北京在住の著名な女流作家・章詒和さんは、3月28日に新刊書『花自飘零鸟自呼(邦訳なし)』の香港出版記念式で講演を行った。
章さんは、「現代中国の知識人が直面している言論や思想の自由に関する問題は、60年前の反右派闘争の時よりもさらに悪化している」と述べている。
事実、章さんの言論は当局から禁止され、中国大陸ではいかなる方式の発表も許されていない。章さんは、当局が圧力や脅しの他に、知識人に対し金銭的な懐柔手段も使い、「人文分野において非常に効果がある」と指摘している。
(翻訳編集・島津彰浩)
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