電子お年玉の普及が凄まじい。中国の旧正月大晦日、中国の人気交流アプリの利用者間で142億回もの「デジタルお年玉」が送信された。これは前年比75%増で、前前年比では14倍になる計算だ。中国の伝統的な慣習が、電子取引により変化している。
中国では伝統的に、旧正月に「紅包」と呼ばれる赤い封筒に少額を入れて、子供や親族の年下、会社部下、親しい年下の知人に贈る習慣がある。
中国IT大手テンセントの交流アプリ・微信(WeChat)は、2014年から電子お年玉サービスを導入。同社によると、今年の旧正月の夜中には毎秒76万件、大晦日にあたる27日の一日だけで142億回の送信があったという。
ライバル社である電子商取引大手アリババのモバイル支払いサービス「アリペイ」は差をつけられた。アリババは、ゲームを通じて個人が現金を手に入れるという、「紅包」とは異なる新たなブームを作り出そうとした。しかしながら、比較的に、他者におこずかいを渡すという形式が好まれた様子。
紅包につつむ額の相場は、縁起が良いとされる8や6の数字が連続する8.88元(約150円)や6.66元(約110円)ほど。
大規模な広告キャンペーンがなくても、電子お年玉は普及したようだ。 最近の調査では、95%の人が、実際の赤い封筒の中に現金を入れる伝統的な方法より、電子お年玉のほうが利便性が高いと親に説明する(しようとしている)とのアンケート結果がある。
紅包は、中国で何世紀も前から続く旧正月の習慣とされる。年初めに年上の者を訪ねた下の者は、赤い紙で「幸運と元気」「一年の安泰」との願いを込めてお金を渡したという。このような顔の見えない電子取引では、年上の者が慈しみを示すこともできず、年下の者が敬意を表す機会ももてないのではないだろうか。
(翻訳編集・佐渡 道世)
※2017年2月6日16時 最終段落を追加しました。
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