中国東北部、若者の人口流出止まず

2016/11/29
更新: 2016/11/29

中国東北部。地元の将来を悲観した若者の人口流出が止まらない。当局は今月、遼寧省の経済は今年初めからの9カ月で2.2%萎縮したと発表。これは、過去7年で中国最大の地域経済の萎縮規模だという。

国家発展改革委員会の東北経済担当・周建平氏は英フィナンシャル・タイムズの取材に対して、地方から学歴を得た人々がいなくなることは、中央政府の懸念だと語った。「地方を離れた『エリート』の多くは、管理職や生産ラインの骨幹を担う人材だった」と主張する。

そもそも就職先の少ない東北部

若年労働人口によると、北東部の景気減速は、極端な国の政策の依存にあるという。中国の大多数の雇用は、民間企業から生まれる。しかし東北部は、衰退傾向にある国有重工業企業と国有農業の基盤であり、就職先がそもそも少ない。待遇の厚い「優良」な勤め先である国有企業のポストは、引退した幹部らの子供や親せきが就く。

1990年代、東北3省の流出人口は36万だったが、2000年から2010年までで、その数字は200万人に増加した。 ある地方の高校を卒業した女性は「私のクラスでは6~7割が地元を出て、多くは戻らない予定」と同紙の取材に答えた。

90年代から、すでに国営企業は破産の危機にあった。これにより数百万人の失業が見込まれていたにもかかわらず、当局は、まだこの問題への有効な対処策をとっていない。

過去20年間、地方は鉄鋼や石炭産業の復活を期待していた。現在の中央政府の計画は余剰設備を削ることだ。

中国統計当局による2010年の国勢調査では、東北部の出生率は0.75だという。労働力の高齢化を埋めるためには低すぎる数値だ。

(翻訳編集・佐渡 道世)

関連特集: