子どもを必要とする外国人夫婦が、中国で自分たちの養子を探すとき、たいてい孤児院をめぐるだろう。しかし、中国人自身は孤児院をめったに利用しない。ソーシャルメディアで孤児広告を見つけて、違法取引する。
「女の赤ちゃん、10月末にお届けします」。一つの孤児広告は告げる。「思わぬ出来事に、両親は赤ちゃんを手放しました。法的書類も送付します」。
中国には子どもをあっせんする闇の仲介業者が存在する。インターネットで養子縁組について取引することは違法だ。つまり、先の広告の「法的書類」とは、とても紛らわしく聞こえるが、ねつ造したものか、賄賂を受け取った当局者が作成したものだ。
売買される孤児は、経済的な理由で手放された子や、男児が圧倒的に望まれているため、女児が多くなる。人民日報ネット版「人民ネット」によると、両親が出産後に失踪するなどして病院に残された孤児は、闇の仲介業者に売り渡されていたという。このようなケースの多くは警察に通報されない。
不法取引される子供は、身体や精神の障害を持った子供が大半を占めるという。2012年の中国中央テレビ(CCTV)の報道によると、孤児院へ預けられた子供の9割が何らかの障害を患っていた。
子供の闇取引が蔓延するのは、孤児院の運営が資金難に陥っていることがあげられる。
孤児院を管理する中国共産党の家族計画当局者は、孤児と養子縁組した国内外の両親から寄付金を求め、横領していたことが、孤児院運営者により暴露された。
南方時報は2009年、貴州の家族計画当局は、3人の子供を持つ家族から罰金を徴収して2人の子供を引き離した。当局が管理する孤児は、海外から来た養子縁組を希望する夫婦へ売られていた。また一部の孤児院は、運営資金不足のため、高い契約金を獲得できる海外の夫婦との養子縁組を強いられていたという。
中国社会における子供の価値観が、金銭授受のための道具にまでなり下がったのは、70年代に始まった一人っ子政策の影響が大きい。子孫繁栄と継続という家族概念が強い中国で、たった一人の子供しか持つことができない夫婦は、男児を持つことを強く希望するようになった。その結果、数百万人の女児が捨てられ、きわめてアンバランスな男女差を生んだ。そのため、今日、それぞれが結婚適齢期を迎えた中国人女性と結婚できない中国人男性は、1000万人を超えるという。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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